非小細胞肺腺がん3B期に対する放射線治療は?

回答者:坪井 正博
神奈川県立がんセンター 呼吸器外科
発行:2010年4月
更新:2013年12月

  

総合病院で、肺がんの治療を受けています。詳しくは以下のとおりです。

非小細胞肺腺がん:ステージ(病期)3B T1 N3 M0
T1:左下葉22ミリ
N3:所属リンパ節では、原発巣と反対側のリンパ節にも転移あり。胸膜への転移はなく、縦隔には広がっていない。胸水はたまっていない
M0:首の両側のリンパ節に転移あり
1回目の抗がん剤治療:2006年10~12月に、タキソール(一般名パクリタキセル)+パラプラチン(一般名カルボプラチン)
2回目の抗がん剤治療:2007年5~9月に、タキソール+パラプラチン
3回目の抗がん剤治療:2008年4月から現在に至るまで、イレッサ(一般名ゲフィチニブ)

2009年12月現在、胸のX線検査では異常はなく、CT(コンピュータ断層撮影)検査では原発巣は変形すりガラス状と診断、PET検査では転移・再発は認められていません。腫瘍マーカーのCEAは1.7ナノグラム/ミリリットル前後です。また閉塞性換気障害があり、日常生活では自覚症状はありませんが、人混みの駅の昇り階段で少し息切れがします。放射線治療ができないかを主治医に聞いたところ、「反対側のリンパ節に転移がある場合は、当院ではしていないが、患者の希望で手術はしたことがある。手術では、反対側のリンパ節の切除はしない。手術後にもしこのリンパ節が動き出したときは、手術は無駄になる」と言われました。手術を受けた場合、肺の機能が心配です。放射線治療には定位放射線治療、3次元放射線治療、IMRT(強度変調放射線治療)などがあるようです。今はイレッサが効いていて、体調もよいので、できれば放射線の照射を受けたいです。放射線治療は受けられますか。

(秋田県 女性 69歳)

A まずはリンパ節転移の状態などを確認することが重要

質問文にはいくつか疑問ないしは不自然に思える箇所があります。まずはそれらを指摘します。

1つ目は「所属リンパ節では、原発巣と反対側のリンパ節にも転移あり。胸膜への転移はなく、縦隔には広がっていない」の箇所です。この縦隔に関する記載は、がんの原発巣の状態を言われているのか、リンパ節を含む転移巣の状況を表現されているのか不明です。反対側のリンパ節転移のある3期の肺がんであれば、少なくとも縦隔のリンパ節転移があるはずで、一般的には「縦隔」にがんが広がっていると考えられます。本当に縦隔にがんがないのであれば、もしかしてがんではなく、サルコイドーシスという非特異的炎症疾患であることも考えられます。サルコイドーシスでも縦隔リンパ節は腫れますが、このサルコイドーシスの治療法はがんとは全く異なります。

2つ目は「M0:首の両側のリンパ節に転移あり」の箇所です。頸部リンパ節への転移があるならM1で、ステージは4です。その場合、放射線治療はそもそも適応にはなりません。

3つ目。抗がん剤治療の行われ方が今ひとつ理解できません。肺がんの抗がん剤治療は通常、4~6回(サイクル)行いますが、ご相談者の抗がん剤治療の受け方、回数の数え方には、疑問に思える点があります。

4つ目は「反対側のリンパ節に転移がある場合は、当院ではしていない」と主治医がお答えの箇所で、「していない」のが手術なのか放射線治療なのか不明です。このあたりの文脈(話のやりとり)にわからないところがあります。

そのほか、不明な点がいくつかありますが、まずはリンパ節と首の両側のリンパ節転移がどのような状態だったか、主治医に確認されるとよいと思います。質問文からは矛盾に思える箇所もあり、サルコイドーシスに加え、もしかして、T1N0M0の1A期の肺がんである可能性もうかがえます。

以上のように、疑問点や不明点が多いことを踏まえた上で、お尋ねの放射線治療について答えると、「手術が無駄になる」状態であれば、放射線治療も基本的には効果がないと考えられます。

また、3B期の肺がんであれば、通常、抗がん剤治療と放射線治療を同時に行うのですが、リンパ節転移の範囲が広すぎて、照射範囲が広くなるために、放射線治療は行っていないのかもしれません。

今後、もし放射線治療を行うのであれば、一般的な方法である3次元照射がよいと思います。ただし、イレッサの治療を受けているときに放射線治療を行うと、間質性肺炎を起こすリスクが高まる可能性があります。放射線治療は、イレッサの治療を中止して、少なくとも2週間以上経ってから行うことになります。

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