扁平上皮がんの父。術後、どんな補助化学療法をしたらよいか
64歳、父のことです。総合病院の検査で、右肺の肺門に2.5センチほどの腫瘍が見つかりました。非小細胞肺がんの扁平上皮がんと言われ、手術予定。父の場合、手術後はどんな補助化学療法をしたらよいのでしょうか。
(福井県 女性 34歳)
A 術後の補助化学療法はしなくてもよい
肺がんの病期分類は、2010年1月1日から新しくなります。
これまでは、腫瘍径3センチ未満を1A期としてひとまとめにしていました。国際対がん学会(UICC)による世界共通の新しい病期分類では、腫瘍径を2センチ以下と2~3センチの2つに分けることになっています。2センチのところに、新たにラインが引かれるようになります。
お父様は、腫瘍径が2.5センチほどなので1A期に入ると思います。1A期なら、手術で完全切除できれば術後に何もしなくても80パーセント以上の人は再発せずに良好な経過を辿っています。ですから、術後の補助化学療法を必ずしもやらなくてはいけない状況ではありません。
再発予防の補助化学療法として抗がん剤のUFT(一般名テガフール・ウラシル)の服用をすることがあります。UFTは内服薬で、点滴による投与よりも受け入れやすいと言われています。ただ、抗がん剤ですから副作用があります。UFTは一般的な抗がん剤に比べて重い副作用は少ないものの、食欲低下や味覚異常などを起こすことが知られています。ただし、副作用の現われ方や感じ方には個人差が大きく、まったく何も訴えられない方もいらっしゃいます。
一方、補助化学療法をすれば再発を予防できる可能性がありますが、確率論として死亡リスクを減らす効果が20パーセント程度と示されているに過ぎません。補助化学療法を受ければ再発しないとは断言できないのです。
こうした抗がん剤の効果と副作用をよく理解されたうえで、それでも補助化学療法をやりたいということであれば、取り組まれることをお勧めします。ちなみに、UFTによる補助化学療法は、非小細胞肺がんの中でも扁平上皮がんのほうが腺がんよりも少し効き目がよくないようなデータがあります。この点から、補助化学療法を勧めないという医師もいます。
補助化学療法をやるやらないに関わらず、術後は術前の生活を取り戻せるようリハビリに励まれることをお勧めします。