タキソール+パラプラチン治療後、転移の可能性。治療法は?

回答者:坪井 正博
神奈川県立がんセンター 呼吸器外科
発行:2009年10月
更新:2013年11月

  

2006年12月に受けた人間ドックで、胸部にボーッとした陰があると指摘され、その後、多くの検査を受け、2007年1月に左肺葉切除の手術を受けました。腺がんでした。退院後、抗がん剤のUFTE顆粒(一般名テガフール・ウラシル)を飲んでいましたが、6カ月後、手足のしびれが起きたため、服用をやめました。今年の3月に受けたCT検査では「左肺下葉に複数の結節を認め、増大もしくは新出病変があり、肺転移を疑う」、PET検査では「胸膜播種と肺転移を疑う」といわれました。その後、手術のできない場所に転移しているため、抗がん剤治療を勧められました。それで4月に入院し、4回にわたって、タキソール(一般名パクリタキセル)とパラプラチン(一般名カルボプラチン)の抗がん剤治療を受けました。関節痛、口内炎、下痢、嘔吐、倦怠感、脱毛などの副作用が出ました。6月下旬からは抗がん剤治療をいったん中止しています。7月には「左肺の転移と胸膜播種は、ごくわずかに増大している印象がある」「抗がん剤治療でがんが大きくなる速度が抑えられていたか、もしくは効かずにがんが大きくなった」「血液検査などの改善が見られたら、次の抗がん剤治療を検討したほうがよいかもしれない」といわれました。長期にわたる治療で心身ともに、また経済的にも参っています。よい薬や治療法はないでしょうか。

(秋田県 男性 69歳)

A EGFR遺伝子変異が陽性なら、イレッサかタルセバを検討

当初の肺がんの大きさや病期などが質問文には書かれていません。また、経済的な負担は、治療を追加すれば少なからず増えるため、期待されていらっしゃる「費用対効果」がどの程度かなど、不明な点があることをまずお断りした上でお答えします。

ご相談者は、まずご自分のがんの中にEGFR(上皮成長因子受容体)というタンパク質の遺伝子変異があるかどうかを確認されるとよいと思います。EGFR遺伝子変異は手術で取り出されたがん組織を調べるとわかります。

EGFR遺伝子変異があれば、イレッサ(一般名ゲフィチニブ)かタルセバ(一般名エルロチニブ)のいずれかの分子標的薬が勧められます。いずれも内服薬(錠剤)で、これらの2剤を比較すると、タルセバのほうが幅広い患者さんに効果があるといわれていますが、費用はイレッサのほうが安くすみます。ただし、医療費については、高額療養費の制度を使えば、一定額を超えた分は戻ります。

ほかには、アリムタ(一般名ペメトレキセド)かタキソテール(一般名ドセタキセル)のいずれかが考えられます。これらはいずれも点滴によって投与します。アリムタもタキソテールも、EGFR遺伝子変異がない人にも使われますが、変異のある人のほうが効きやすい傾向があります。

また、文面からは、PET検査などの画像だけから診断しているように受け取れますが、PET検査では8割程度しか確実な診断はできません。逆にいうと、約2割は正しい診断ができない可能性があります。

PET検査を行った際、SUV値という糖の値が10~20ほどであれば、がんである可能性が高いと考えますが、5~6程度であれば、非結核性抗酸菌症など炎症の可能性もあります。また、カビの類でも、画像ではがんのように見えることもあります。念のために、がん以外の病気の可能性がないか、今一度、主治医に確認されたほうがよいかもしれません。

やはり、がんの再発・転移であることが確認された場合は、先述した治療法を検討されるとよいでしょう。厳しい状況が予想されますが、4期の肺がんでイレッサを服用し続け、5年間、元気な方もいらっしゃいます。治療のリスクと期待される効果を十分に理解されて、前向きに治療と向き合われることをお勧めします。

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