3b期の肺腺がん。イレッサを受けたい

回答者:坪井 正博
神奈川県立がんセンター 呼吸器外科
発行:2008年12月
更新:2013年11月

  

68歳の妻のことでお伺いします。妻は肺腺がんを患っていて、3b期です。病院では、放射線の治療のみを受けています。家族としては、ほかにもイレッサ(一般名ゲフィチニブ)の治療を受けさせたいと思っており、主治医にその旨を伝えたところ、「肺障害の副作用が出る恐れがあるためできない」と言われました。このまま、放射線治療だけで本当によいのでしょうか。イレッサの治療を受けさせたい場合、どこの医療機関に行けばよいでしょうか。

(新潟県 男性 69歳)

A 抗がん剤治療を受けていなければ、その理由を確認してから検討

3b期の肺がんの標準治療は、抗がん剤と放射線治療の併用療法です。とくに、70歳未満で、年相応の体力がある患者さんには、この併用療法が勧められます。3b期の肺がんでも、抗がん剤治療と放射線治療で治癒する場合もあります。放射線治療だけだと、治癒する可能性はゼロではありませんが、かなり下がります。

ご相談者は「放射線の治療のみを受けている」とお書きです。これまでに、抗がん剤治療を受けているのか、それともいっさい受けていないのか、文面だけでは定かではありません。

このことは、今後の治療法を考える際に重要です。それというのも、もし抗がん剤治療をいっさい受けていないのであれば、何かしらの理由があると考えられるからです。たとえば、肺機能の低下とか肝臓・腎臓の機能の悪化、あるいは不整脈などといった理由です。もし前記のような重大なリスクがあるのなら、主治医はそのためにイレッサも投与できないと判断している可能性もあります。

仮にイレッサが適応になる場合でも、放射線治療を同時に行うと、肺臓炎を起こす危険性が放射線治療だけの場合よりも高まると言われています。そのため、一般的には放射線治療を終了後、3カ月以上経ってから、イレッサは投与されます。ただし、患者さんの肺の状態によって、空ける期間は変わります。

「イレッサの治療を受けるには、どこの医療機関に行けばよいか」とお尋ねですが、イレッサは承認薬ですので、今はどこの病院でも基本的に治療は可能です。主治医の先生がイレッサは危険とおっしゃっているようなので、まずは今の主治医に病状を含め、何が危険なのかをよく聞いて相談してみることが大切だと思います。

また、イレッサは一般的に、女性の腺がんに効きやすいといわれますが、女性の腺がんでも、効かない場合が、もちろんあります。また、副作用が強く出ることもあるなど、リスクについても十分にご理解ください。

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