扁平上皮がん。再発・転移の治療は?

回答者:吉田 純司
国立がん研究センター東病院 呼吸器外科医長
発行:2008年7月
更新:2013年11月

  

3年前に、健康診断のレントゲン検査で肺の異変を指摘されました。CTスキャンや気管支鏡検査などで、右肺の上葉に4センチの腫瘍が見つかりました。非小細胞肺がんの扁平上皮がんとのことで、外科手術をしました。病理検査ではリンパ節転移も1つ見つかりました。術後3カ月後に、両肺の転移と肝臓の転移がわかり、アクプラ(一般名ネダプラチン)とトポテシン(一般名イリノテカン)の2剤による抗がん剤治療を受けました。幸い、現時点では良好ですが、常に再発・転移への不安があります。再発・転移の際、どのような治療を選んだらよいのでしょうか。

(茨城県 男性 59歳)

A セカンドラインとしてタキソテールがある

非小細胞肺がんに対する抗がん剤治療としては、プラチナ系といわゆる第3世代の抗がん剤の組み合わせによる治療が最も有力な手立てです。あなたのがんにはこの治療がよく効いて、転移がわかったあとも2年9カ月間、無事に過ごしておいでなのは幸運でした。

しかし、このような抗がん剤治療で非小細胞肺がんの根絶や根治を得ることは難しく、いずれ再発、転移が出てくるのが普通です。その場合、よく効いたアクプラとトポテシンによる治療が再びよく効くかもしれません。けれども、次に再発・転移してくる病巣は、アクプラとトポテシンによる第1撃(ファーストライン)を耐え忍んだがん細胞が増殖したものですから、同じ薬による治療はあまり効かない可能性も十分あります。

このような場合、第2撃(セカンドライン)の抗がん剤治療として最も実績があるのは、タキソテール(一般名ドセタキセル)の単剤による治療です。タキソテールは、アクプラ、トポテシンとは作用機序が異なりますから、効果を期待できますし、その副作用は軽いことが多いようです。しかし、副作用の程度は、実際に治療を受けてみないと本当のところはわかりませんので、1回目は10日間ほど入院して行う場合が多く、実際に副作用が軽い場合には、外来での治療に移行します。

相談者のような状況では、がんは体のあちこちに広がっていると考えられるので、体全体を相手にできる抗がん剤の治療が主体です。

しかし、たとえば骨転移に対しては放射線治療を併用することもあります。痛みをやわらげ、骨折を予防するうえで役に立つことがあるからです。また、脳転移に対してガンマナイフや全脳照射を行うことで、脳転移に伴うさまざまな症状をやわらげられる場合もあります。

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