76歳、非小細胞肺がんの3期。有効な化学療法は?

回答者:吉田 純司
国立がん研究センター東病院 呼吸器外科医長
発行:2008年3月
更新:2013年11月

  

76歳の父のことで相談です。総合病院で非小細胞肺がんの3期と言われました。医師から「手術は難しいため、化学療法をしたほうがよいでしょう」と言われたとのことです。高齢で、軽い糖尿病の持病もあるため、化学療法による副作用が心配です。できるだけ副作用が少なく、有効な化学療法を選びたいと思います。アドバイスをお願いします。幸い、父は自分で身の回りのことはほとんどできます。精神的なショックはあるようですが、全身状態は悪くはなさそうです。

(島根県 女性 49歳)

A 75歳を超えた方には、化学療法はあまり頑張らない

化学療法の効き具合も副作用の程度も、実際に受けてみないとわかりません。一般的には副作用が軽めである化学療法を受けても、副作用がきつく出る方もおいでですし、きつめのものでも平気な方もおいでです。

高齢者では、重い副作用が出てしまうと危険ですので、本邦では、75歳を超えた方には化学療法はあまり頑張らない、というのが一般的な考え方です。

私は、とりあえず1回試してみたらいかがですか、と患者さんにお話することが多いです。よく効いて、副作用が軽ければ続けますし、逆に、副作用がきつく、あまり効かないのであれば止めればよいのですから。ただし、その1回が命取りになる危険性がわずかにあることは覚悟していただくほかありません。

化学療法の組み合わせは、担当医がもちろん十分に配慮するものと思います。ただし、化学療法で非小細胞肺がんを全滅させることはほとんど期待できません。腫瘍の大きさを半分以下にできる割合も3~4割程度です。化学療法の目的は、がんの進行を遅らせ時間を稼ぐことにあることを十分に理解する必要があります。

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