2A期の肺腺がん。再発予防の抗がん剤は?

回答者:坪井 正博
神奈川県立がんセンター 呼吸器外科
発行:2007年10月
更新:2013年11月

  

2007年の5月に肺腺がんが発見され、6月に手術を受けました。病理検査の結果、病期は2A期でした。再発を予防するために、タキソールとパラプラチンの2種類の抗がん剤(注射薬)や、UFTという抗がん剤(飲み薬)の治療もできると主治医に言われました。手術は成功し、体調も良好です。この状態で、再発予防のために、副作用が起こりうる抗がん剤治療を受けたほうがよいのか迷っています。

(岡山県 女性 67歳)

A 最も信頼できる抗がん剤治療

2期と3期の肺がんに対して、最も信頼のできる抗がん剤治療(術後補助化学療法)はシスプラチン+ナベルビンの2剤併用療法です。この治療を行った場合、再発率や死亡率は約17パーセント減少し、5年生存率は5.3パーセント上昇したというデータもあります。

ただし、シスプラチンには腎毒性があるため、ほとんどの場合、入院治療になります。日本の医療施設は現在、できるだけ外来治療をする方針ですから、そうした背景もあって、主治医は、タキソール(一般名パクリタキセル)+パラプラチン(一般名カルボプラチン)や、UFT(一般名テガフール・ウラシル)を勧めたのかもしれません。とくにタキソール+パラプラチンは、2期、3期の肺がんの患者さんに、臨床研究として行われる場合が少なくありません。

UFTは、1B期の肺がんに対しては効果があるというエビデンス(根拠)がありますが、2期以降に関しては、確たるものはありません。一方で、タキソール+パラプラチンにしろUFTにしろ、副作用は少なからず起こります。

もう1つの選択肢として、「治療を何もしないで、経過を観察する」方法もあります。2A期の場合、5年生存率は、手術だけで55~60パーセントほどです。このデータは同時に、手術後に抗がん剤治療を何も受けなくても、6割近くの人は再発しないことを表しています。こうした現状を踏まえて、主治医に改めて相談してみてはいかがでしょうか。

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