3B期の肺腺がん。手術を受けられないか

回答者:坪井 正博
神奈川県立がんセンター 呼吸器外科
発行:2007年10月
更新:2013年11月

  

3B期の肺腺がんと診断され、鎖骨上のリンパ節と縦隔リンパ節に転移がありました。最初は縦隔に7センチくらいのがんが見つかりました。放射線治療およびシスプラチン+ナベルビンの抗がん剤治療を受けた結果、がんは3センチになり、リンパ節のがんはすべて消失しました。今は縦隔に3センチくらいのがんがあります。腫瘍マーカーのCEAは当初300、がんが3センチになると27、今はがんは大きくなっていませんが、CEAは130になったため、タキソテールを受けています。手術はできないのでしょうか。

(大阪府 男性 45歳)

A 手術は標準ではない。かなりチャレンジングな選択になる

結論から言いますと、3B期の肺がんは、一般的には手術の適応になりません。標準治療は、ご相談者がお受けになっている放射線治療+抗がん剤治療です。当初受けられたシスプラチン(商品名ランダまたはブリプラチン)とナベルビン(一般名酒石酸ビノレルビン)の2剤併用療法は第1選択として、今受けているタキソテール(一般名ドセタキセル)は第2選択として、いずれも標準的な抗がん剤です。

手術の可能性はゼロではありませんが、手術で完全に取り切れなければその治療効果はゼロかむしろマイナスになる、つまり術後の早い時期から不幸な転機をとる可能性があります。完全切除できるかどうかは、実際には胸を開けてみないとわからない部分もあり、かなりチャレンジングな治療法と言わざるを得ません。

ただし、質問文には不確かな点が散見されます。たとえば、がんの原発巣がどこなのかわかりません。手術を行えるかどうかを判断するには、原発巣がどこかを知る必要があります。

また、原発巣とリンパ節転移のがんとは直接つながっているのか(つながっている場合を「一塊」といいます)、今は消えているのかもしれませんが治療前のリンパ節転移の個数は何個だったのか、といったことも不明です。

そのほか、不明点は幾つかありますが、たとえばリンパ節転移の個数が1個だけの場合などには、手術を行えるケースもなかにはあります。ですから、手術をご希望でしたら、セカンドオピニオンを受けるのも選択肢の1つになるとは思います。

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