非小細胞肺がん転移、血栓症と貧血が合併(1)

回答者:向山 雄人
東京都保健医療公社豊島病院 緩和ケア科医長
発行:2004年4月
更新:2013年12月

  

2年半前に非小細胞肺がんで手術を受けました。 1年ほどして、肝臓、骨、リンパ節に転移がみつかり、これまでにパラプラチン、ランダ、カンプト、ナベルビン、ジェムザール、イレッサというさまざまな化学療法を受けてきました。現在、血栓症とひどい貧血があるほかは、治療をあきらめるほど体力は落ちていないつもりです。主治医は、すでにさじを投げているのか、自分でやりたい治療があれば、と言っています。

(東京都 男性 41歳)

A 鉄欠乏性の貧血であると判断された場合には、鉄剤の服用を

抗がん剤治療が骨髄に与えたダメージの影響、あるいはがんの骨髄転移によって、造血機能が低下したことによる貧血であると考えられます。血液1cc中のヘモグロビン値が8グラムを下回り、さらにだるさや息切れなどの症状がある場合には、赤血球の成分輸血が有効です。これにより、その日のうちか少なくとも1~2日のうちに元気になります。

もし、血液を調べた結果、鉄欠乏性の貧血であると判断された場合には、鉄剤の服用で貧血症状の緩和が期待できます。また、血小板も同時に減り出血傾向があれば、播種性血管内凝固症候群(DIC)が疑われます。

もし骨の痛みがある場合には世界保健機関(WHO)方式のがん疼痛治療法にしたがって投薬を受け、加えて放射線の照射を考慮します。このようにまずは、貧血状態を改善して倦怠感や息切れを解消し、痛みをとることが先決です。

肺がんに対する抗がん剤治療は、現在プラチナ系の薬剤にタキソール(一般名 パクリタキセル)もしくはジェムザール(一般名 ゲムシタビン)を行い、次の段階にはタキソテールやイレッサ(一般名 ゲフィチニブ)を使用していきます。お手紙によるとまだタキサン系の抗がん剤を使っておられないようなので、心肺肝腎といった全身機能や骨髄機能を調べた上で、タキソテール(一般名 ドセタキセル)を3週に1回行う治療を試されてはいかがでしょう。

いずれにしても、肝臓への転移の程度と広がり具合が治療決定や今後を決定する重要な要素になります。

播種性血管内凝固症候群=播種性に全身の微小血管内に血栓ができ、臓器障害が出る。また出血すると止まりにくくなる。治療にはATⅢ、ヘパリンやプロテアーゼインヒビターが用いられ、改善率は50~60%である

同じカテゴリーの最新記事

  • 会員ログイン
  • 新規会員登録

全記事サーチ   

キーワード
記事カテゴリー
  

注目の記事一覧

がんサポート11月 掲載記事更新!