Ⅱ期の非小細胞肺がんの治療法は?
ⅡA期の非小細胞肺がん(扁平上皮がん)と診断されました。腫瘍の大きさは4.2㎝です。肺葉切除術とその後の抗がん薬治療、または外部放射線治療を治療選択として、考えております。どちらの治療法を選択するのが、より根治に近づくのでしょうか。
(愛知県 男性 50歳)
A 体力があれば手術+抗がん薬治療を
ご相談者がⅡA期ということは、大きさが5㎝より小さいので、腫瘍と同じ側の気管支の周り・肺門・肺内のリンパ節にがんが転移している状態と考えられます。
肺がん治療では、今のところ「手術で完全に取りきれる人は手術しましょう」というのが基本です。従って、進行度がⅠ期、Ⅱ期で基本的に体力がある方は、根治の確実性が高い手術+術後の抗がん薬治療をお勧めしています。
例えば、肺門部にできた扁平上皮がんでは、肺門部の腫瘍とリンパ節に転移した腫瘍を完全に取り切れば、一定の割合で根治が期待できます。このような場合、約6割の患者さんは、抗がん薬治療が必要ありません。
抗がん薬を使う場合、エビデンス(科学的根拠)がある薬の組み合わせは、シスプラチンとナベルビンです。術後2カ月前後から、月1回程度の間隔で3~4カ月間治療を行います。
副作用ですが、肺炎など合併症が起こる場合があります。
外部放射線治療のみだと、根治は難しいとされています。ただ、手術に耐えられないような体力のない方は、外部放射線治療のみを行います。
毎日1.8~2グレイの放射線を照射することが多く、5~6週間ほどの治療期間が必要です。
放射線治療の副作用として、放射線食道炎といって、食道のあたりがヒリヒリ痛んだり、つっかえたような感じがすることがあります。
また、放射線皮膚炎にも注意が必要です。放射線の照射範囲によっては、放射線肺臓炎や間質性肺炎が起こる可能性もあります。
脳梗塞や心筋梗塞など動脈硬化や糖尿病などで手術のリスクが高い場合、手術による一時的な息苦しさや痛みに耐えられないと予想される場合、呼吸器機能が落ちている場合には、外部放射線治療を受ける方もいらっしゃいます。
がん治療において、「治療できること」と「治ること」は同じではありません。
それぞれの期待される効果とリスクを主治医の先生に良く伺われ、納得のいく治療を受けられることをお勧めします。