3b期の非小細胞肺がんで、喘息傾向あり。治療法は?

回答者:坪井 正博
神奈川県立がんセンター 呼吸器外科医長
発行:2012年1月
更新:2013年12月

  

3b期の非小細胞肺がんで、化学療法を勧められました。放射線治療を同時に行う方法があるようですが、長年の喫煙による喘息傾向があるため、勧められないとのことです。化学療法だけで大丈夫でしょうか。

(北海道 男性 76歳)

A 化学放射線療法は勧められないが、逐次療法を検討して

喫煙によって喘息発作のような症状が起こる人は、もともと肺がたばこによるダメージを受けている場合が多く、放射性肺臓炎や間質性肺炎の急性増悪など、治療による合併症のリスクが高くなります。とくに、3b期の治療として一般的な、抗がん剤治療と放射線治療を同時期に行う化学放射線療法は、肺組織へのダメージが強く出るので、喫煙による喘息や肺線維症などで、すでに肺機能が落ちている人には、勧められません。

ただし、範囲を狭めた放射線照射が工夫できるケースなどについては、抗がん剤治療後に放射線治療を開始する、放射線治療の逐次療法を行ったり、放射線治療のみを行うこともあります。もしくは、抗がん剤の治療のみを行うこともありますが、これでは完全寛解(がんが消失すること)は見込めなくなります。放射線による肺の局所治療(がんのできている場所を徹底的にたたく治療)を行わないことには、抗がん剤治療だけでは、治りきることはできません。

3b期の場合は、化学放射線療法が効果を発揮するとまれに肺がんが治癒する人がいます。ですので、ご自身のがんが放射線治療の効果を期待できるものなのか、主治医に詳しく聞いてみる必要があると思います。

このほか、化学放射線の同時療法で合併症が起こるリスクがある患者さんは、肺線維症、間質性肺炎、結核、胸膜炎などの既往がある場合です。これらの既往もさることながら、喫煙は肺のダメージを蓄積するため、治療による副作用の誘因となります。喫煙している人は、肺がんとわかったら早く禁煙することが大切です。

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