ALK阻害剤とはどんな薬か

回答者:坪井 正博
神奈川県立がんセンター 呼吸器外科医長
発行:2012年1月
更新:2013年12月

  

非小細胞肺がんの腺がんです。腺がんだとALK阻害剤という新しい薬剤による治療が受けられる可能性があると聞きました。ALK阻害剤とはどんな薬なのでしょうか。またこの治療を受ける場合、どうすればいいのでしょうか。

(東京都 男性 49歳)

A 有効な条件に合えば臨床試験を

ALK阻害剤とは、腺がんで、非喫煙者で、50歳以下で、EGFR遺伝子の変異がなく、EML4-ALK遺伝子がある患者さんに有効とされる分子標的薬です。現在臨床試験中です。このEML4-ALK遺伝子がある患者さんは腺がんの約5パーセントといわれています。

ALK阻害剤による治療を望まれる場合、まず主治医に相談し、遺伝子検査を行い、EGFR遺伝子変異の有無を調べます。EGFR変異がなく、EML4-ALK遺伝子がある場合、適応の可能性がありますので、専門病院で行われている臨床試験に参加して治療を受けます。ただし、今までのデータをもとに、来年には保険適応になる可能性があります。

新薬による治療を受けるにあたって、患者さんにご留意いただきたい点があります。承認されてやっと世の中に出てきた薬剤であったとしても、臨床試験で安全性が確認された患者さんの数は限られているので、予期せぬ副作用が現れるなどの可能性はあります。新薬は発売され、多く使われるようになって効果を含め副作用のデータが蓄積されていきます。ですから、新薬による治療を受けるときはそういったリスクもきちんと理解し、患者さん自身も薬を大事に育てるという意識を持って臨んでいただければと思います。

同じカテゴリーの最新記事

  • 会員ログイン
  • 新規会員登録

全記事サーチ   

キーワード
記事カテゴリー
  

注目の記事一覧

がんサポート4月 掲載記事更新!