進行非小細胞がんの維持療法はしたほうがいい?

回答者:坪井 正博
神奈川県立がんセンター 呼吸器外科医長
発行:2012年2月
更新:2013年12月

  

4期の非小細胞肺がんです。維持療法という、治療によってがんが縮小、消失した状態を持続するために行う化学療法があることを聞きました。少しでも長く生きられるように頑張りたいとは思うのですが、実際のところ、効果や副作用はどの程度のものと考えられているのでしょうか。

(埼玉県 男性 69歳)

A 再発までの時間を延ばす効果がある

一昔前まで、維持療法は抗がん剤の副作用が強い割には、それに見合うだけの効果が出ないことが一般に知られていたため、積極的には勧められていませんでした。ところが、ここ最近の2~3年間で、毒性の比較的軽い薬剤が開発、承認されて、維持療法に対する考え方は変化しています。

具体的には、アバスチンやアリムタを含む抗がん剤治療を受けて、治療効果が相応にあった患者さんが引き続きこれらの薬剤を使い続けることで、無増悪生存期間(再発するまでの時間)を延ばせることが立証されました。これらを受けて、副作用が強くない人、耐えられる体力のある人には、維持療法の導入を検討するようになってきています。

アリムタでは貧血などの血液の副作用、下痢など消化器の副作用、アバスチンでは出血、血栓症、血圧上昇やタンパク尿などの副作用があります。維持療法を行うまでの治療経過で抗がん剤治療の副作用がどうだったのかが重要です。

また、とりあえず副作用に耐えられたとしても、骨髄抑制や食欲不振による体重低下や栄養状態の悪化が持続した身体は次の治療を開始する際のリスク要因になりますので、維持療法は無理して受けるべき治療ではありません。体が弱っていることにより再発あるいは病状が悪化した際に使える薬剤が使いにくくなることがあるので、薬剤の投与を一旦やめて体を休ませる方向で療養が勧められることもあります。これを「ドラックホリデー」と言います。

確かに、4期の患者さんでは、何らかの治療を継続できることが療養を続ける気持ちのうえで大きな意味をもつこともあります。

一方で、治療費を払い続けるという経済的な面、副作用を受け止める体力面も含めてお考えになることが大事です。まずは、ご自身のがんの状況が維持療法の効果を期待できるものか、使われる抗がん剤の副作用がご自身に耐えられるものかなどについて、医師によく相談しながら、検討していかれるとよいでしょう。

アバスチン=一般名ベバシズマブ アリムタ=一般名ペメトレキセド

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