上皮性卵巣がんの再発。最善の治療法は?
2006年2月、病院で検査をしたところ、卵巣腫瘍と腹水が見つかりました。さらに、腹水細胞診を受けた結果、上皮性卵巣がん(漿液性腺がん)で、卵巣と子宮を摘出する手術を受け3C期と言われました。手術後は、タキソール(一般名パクリタキセル)とパラプラチン(一般名カルボプラチン)による併用療法を受けました。副作用はほとんどなく、経過は順調でしたが、再発がわかりました。主治医からは、抗がん剤治療を勧められています。どんな治療が最善ですか。
(石川県 女性 51歳)
A セカンドラインはTJ療法以外の化学療法
3C期とのことですから、腹部に直径2センチを超える播種や、リンパ節に転移があったはずです。卵巣がんとしてはかなり進行した段階で、手術だけで完全に治すことは困難です。卵巣がんの治療では術後に腹部に残っている腫瘍の大きさが予後を大きく左右します。まず手術でできるだけの腫瘍を摘出する。そして、化学療法を追加して残っているがん細胞を消滅させるという治療が一般的です。したがって、手術が完全だったかどうかと化学療法が効くかどうかが、卵巣がんの治療では重要なポイントになります。
一般的には、手術後、ある抗がん剤を用いた治療を終えてから、再発するまでの期間が6カ月以上ならその抗がん剤は効果があったとしています。再発が6カ月以内の場合には、その抗がん剤は効果がなかったとしています。ですから、昨年2月に手術をなさって、その後に抗がん剤治療をしたとすると、通常、昨年の9月から10月頃にその治療は終わっているかと思います。再発は、それから4カ月以内と推定されますから、あまり効いてはいなかった可能性があります。
タキソールとパラプラチンを併用する化学療法はTJ療法と言います。最近では、TC療法とも呼ばれます。現時点では最も効果的で、いわゆるゴールドスタンダードの化学療法です。残念ながら効かなかったと推定されますから、再発治療には用いません。
セカンドラインとしては、TJ療法以外の化学療法を行うことになります。セカンドラインや、サードラインの化学療法は、きちんと決まっているわけではありません。再発したときの患者さんの全身状態などを考えて取り組みます。再発治療では、再発した場所や、その症状の程度などによって、治療選択はかなり異なります。
たとえば、骨盤内で単発の再発なら、手術で切除することも可能です。肝臓、肺でも単発なら手術も不可能ではありません。首や足の付け根のリンパ節転移には放射線治療が可能なこともあります。症状があるときは、症状を軽減する治療に取り組みます。再発したら、何もしないという選択肢もあります。再発の状態によって、再発治療の内容は実にさまざまです。ご自身の人生設計や、人生観をもとに、主治医とよく話し合って、治療選択をしてください。