膵がんの遺伝子検査 どこで受けられるか?費用は?

回答者・森実千種
国立がん研究センター中央病院 肝胆膵内科
発行:2013年12月
更新:2014年3月

  

今年春のアメリカの有名女優の一連の騒ぎで、乳がんでは遺伝子検査をしてリスクを調べられると知りました。同様に、膵がんのリスクを調べる遺伝子検査はあるのですか?

あるとすればどこで受けられますか。費用は?

(40歳 男性 静岡県)

日本でも実施 まずは専門外来で相談を

国立がん研究センター中央病院肝胆膵内科の森実千種さん

近年乳がんで話題になりましたが、膵がんにも生まれつき持っている(親から引き継いでいる)遺伝子変異が原因で、がんを発症するケースのあることが知られています。このような遺伝子変異は、先ほど述べた家族性膵がんのように、家族内に膵がんが多発する場合などに、原因の一つとして考えられています。

膵がんを起こす遺伝子としてはBRCA2、PALB2、CDKN2A/p16、STK11、PRSS1、ATMなどが知られており、なかでもBRCA2が最も頻度も高く(家族性膵がんの10パーセント程度)、有名です。BRCA2遺伝子は乳がんの原因遺伝子としても知られており、これらの検査は国内でも可能です。

しかし、乳がんでも膵がんでもいえることですが、このように生まれつきの遺伝子変異が原因でがんを発症するケースは、疾患全体の一部にすぎません。

また、膵がんの場合、そのような原因遺伝子を持っていることがわかったとしても、先に述べたとおり、早期発見につながる検査プログラムや、予防法などの対応策が確立していないことから、陽性の結果が出たとしても、いたずらに不安感ばかりが煽られる結果にもなりかねません。

そのため、膵がん発症に関与する遺伝子変異の検査に興味のある方は、まずは遺伝カウンセリングを受けられ、遺伝子変異の検査について詳しく説明を聞いてみることをおすすめします。遺伝カウンセリングを提供できる施設は、http://idennet.jp/をご参照ください。

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