術前補助化学療法の効果はどうか

回答者・石井 浩
がん研有明病院消化器内科副部長
発行:2014年11月
更新:2015年2月

  

75歳男性です。黄疸で入院し、ステージⅡの膵頭部がんと診断され、ステントを留置しました。黄疸がとれた後に手術が予定されています。

インターネットで調べたところ、術前に化学療法を行い、腫瘍が小さくなってから手術をするほうが、完治の可能性が高まるとされていました。これは、自分の場合にも当てはまるのでしょうか。

(75歳 男性 福岡県)

臨床試験段階であり 効果は未解明

がん研有明病院消化器内科副部長の石井 浩さん

ステージⅡの膵がんに対する現在の最も優れた方法(標準治療)は、手術で根治切除を行い、その後抗がん薬治療を半年ほど行う方法(切除+術後補助化学療法)です。

お尋ねの方法は、これに加えて手術前にも化学療法を行う方法(術前補助化学療法)です。

術前補助化学療法のメリットは、あらかじめがんが小さくなれば、より安全でより確実な手術が期待できること、CTや肉眼で見えない微小転移を事前にたたけることなどです。

一方、化学療法を施行している間にがんが進行した場合、その後手術ができなくなり完治が望めなくなるリスクが考えられます。従来の標準治療よりも術前補助化学療法を加えた新治療のほうが完治の可能性が高まるのではないかと期待されていますが、その答えは未だ解明されていません。

この問いに答えるべく、現在、東北大学を中心とした日本全国の膵がん診療病院で臨床試験が行われています。

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