進行膵がんの化学療法はどれが良いか

回答者・石井 浩
がん研有明病院消化器内科副部長
発行:2014年11月
更新:2015年2月

  

59歳男性です。ステージⅣbの膵がん(膵尾部)と診断されました。主治医から化学療法を勧められ、抗がん薬治療として、ジェムザール、TS-1、新しい治療法のFOLFIRINOXのうちから1つを選ぶと言われています。どの抗がん薬が適しているのでしょうか。

(59歳 男性 神奈川県)

効果が高いのはFOLFIRINOXだが 体質、体力をよく検討したい

がん研有明病院消化器内科副部長の石井 浩さん

FOLFIRINOXとは4つの抗がん薬名(FOL:ホリナートカルシウム、F:フルオロウラシル、IRIN:イリノテカン、OX:オキサリプラチン。それぞれ一般名)の頭文字を組み合わせた略称です。フランスで開発された新しい治療法で、日本でも昨年(2013年)末から保険適用となりました。

FOLFIRINOXの治療効果はとても高く、今までのジェムザール、TS-1に比べて腫瘍縮小割合は2~3倍、延命効果は2倍弱になると言われています。一方、副作用も比較的強いことがわかっています。血液の細胞成分である好中球(白血球の種類)や血小板が高率に低下し、ときに危険な副作用である発熱性好中球減少症が出現します。

したがって、ご高齢(65歳が目安)の方、体力のない方、黄疸のある方などにはお勧めできません。また、体質(遺伝子多型)で強い副作用がでる方が10人中1人ほどの割合でいます。遺伝子多型は血液検査で事前に調べることができます。

黄疸なし、体質問題なし、体力あり、医師の推奨ありなら、FOLFIRINOXを積極的に検討してよいと思います。何らかの懸念材料があれば、従来からの標準治療であるジェムザールもしくはTS-1が良いと思います。

FOLFIRINOX療法=ロイコボリン(一般名ホリナートカルシウム)+5-FU(一般名フルオロウラシル)+イリノテカン(商品名カンプト/トポテシン)+エルプラット(一般名オキサリプラチン)

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