骨転移の痛みの対処法は?

回答者:赤倉 功一郎
東京厚生年金病院 泌尿器科部長
発行:2012年10月
更新:2013年11月

  

座っているだけで腰のあたりが痛み、これはおかしいと思い、詳しい検査を病院で受けたところ、前立腺がんの4期で痛みの原因は骨転移であると診断されました。まだ治療は受けていないのですが、私の場合、どのような治療法があるのでしょうか? 今は鎮痛薬で痛みを取ってもらっていますが、それ以外の方法はないのでしょうか?

(秋田県 男性 82歳)

A まずはホルモン療法を。痛みが和らぐことも

前立腺がんは男性ホルモン(アンドロゲン)によって発がん・増殖します。ですから、ご相談者は、まず第一に去勢手術やLH-RHアゴニスト製剤などを使ったホルモン療法を行い、前立腺がんの増殖因子である男性ホルモンを分泌させない去勢状態にしましょう。そうすることで骨転移が改善され、痛みも和らぐことが期待できます。

また今後、LH-RHアンタゴニスト製剤に分類されるデガレリクス(一般名)という薬剤が出る予定です。この薬剤は従来から使われているLH-RHアゴニスト製剤の治療開始直後に見られたフレアーアップと呼ばれる、一時的に男性ホルモンの分泌量が多くなり、病状が悪化する現象が起こらないと考えられています。今後に期待したいところです。

また、ホルモン療法で去勢状態が確認されても痛みが引かない場合には、放射線治療を検討します。放射線治療では、がんが数カ所にとどまっている場合には外部照射、多カ所に転移がある場合には、メタストロンと呼ばれる放射性物質を点滴し痛みの緩和を図ります。

また、ゾメタやランマークといった薬剤を使うこともあります。これらの薬剤は、破骨細胞が骨を壊す働きを抑える作用があります。ホルモン療法を続けていくうちに治療効果がなくなる、いわゆる「去勢抵抗性がん」の患者さんに対して、骨折などの骨関連事象の予防のためにゾメタやランマークによる治療が第一の適応となります。

その他、速攻性の対策としては、ご相談者のようにオピオイドなどの医療用麻薬を使用することも良いと思います。

骨転移の痛みは患者さんのQOL(生活の質)の低下に繋がりますので、医師と相談し適切な治療を受けてください。

メタストロン=一般名ストロンチウム89 ゾメタ=一般名ゾレドロン酸 ランマーク=一般名デノスマブ

同じカテゴリーの最新記事

  • 会員ログイン
  • 新規会員登録

全記事サーチ   

キーワード
記事カテゴリー
  

注目の記事一覧

がんサポート4月 掲載記事更新!