ステージ3。手術後のTS-1の有効性は?

回答者:山口 俊晴
がん研有明病院 副院長・消化器外科部長
発行:2008年9月
更新:2019年7月

  

数カ月前、胃がんで胃の3分の2を摘出しました。手術後の診断は、T2(胃の表面にがんが出ていない、筋層あるいは漿膜下層まで)で、N2(胃を養う血管に沿ったリンパ節に転移がある)、ステージ3とのことです。手術前の予想よりも、進行していました。未分化型のがん細胞も混じっているがんとのことです。手術後、TS-1という抗がん剤を服用中です。この抗がん剤治療の有効性はどの程度でしょうか。このあと、どんな抗がん剤を用いたらいいでしょうか。

(兵庫県 男性 52歳)

A TS-1を服用したほうが生存率がアップする

胃がんで抗がん剤を使用するのは、手術できないほど進行した例などで、少しでも延命を図るために使用する場合と、手術後に再発を抑えて、助かる率(生存率)を上げるために行う場合があります。後者を補助化学療法といいますが、以前は補助化学療法を行っても、はっきりした延命効果が証明されていませんでした。

最近、ご相談の方が服用しているTS-1(一般名テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤)という抗がん剤を、ステージ2と3(3A、3B)の胃がんの術後に1年間投与したところ、生存率に改善が見られました。手術後にTS-1をのんだグループは術後3年目の生存率は81.9パーセントありましたが、手術だけの例では70.1パーセントという成績しかなかったのです。

再発なしで生存している無再発生存率を比較しても、TS-1を投与すると72.2パーセント、手術だけの場合60.1パーセントという成績で、やはり、手術後にTS-1をのんだほうが明らかによかったのです。また、未分化型のがん細胞が混じっていても、治療成績は同じです。

なお、TS-1による補助化学療法は術後1年間服用し、その後は再発などがなければ、何も抗がん剤を続ける必要はありません。

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