副作用でTS-1の服用中止。今後の治療は?

回答者:山口 俊晴
がん研有明病院 副院長・消化器外科部長
発行:2007年12月
更新:2019年7月

  

70歳の父のことでご相談します。3A期の胃がんで、手術を受けました。手術は成功し、その後、補助化学療法でTS-1の治療を受けていました。ところが、発疹や吐き気、食欲不振などが強く出たため、担当医に相談し、中止してもらいました。TS-1の副作用はあまり強くないと聞いていましたが、父には合わなかったようです。症状が落ち着いたら別の抗がん剤を行う予定だそうですが、どんな抗がん剤が考えられるのでしょうか。副作用は大丈夫でしょうか。

(三重県 女性 43歳)

A 減量や休薬で対応可能。UFTも効果が期待大

TS-1は副作用の比較的少ない抗がん剤ですが、かといって、副作用がまったく出ないわけではありません。主な副作用は色素沈着や湿疹、ドライアイなどの目の症状ですが、これら以外の副作用が起こることもあります。

TS-1の副作用が強く出た場合、対処法は主に3つあります。

1つは、薬剤量を減らすことです。TS-1の使用量は、患者さんの体重と身長をもとに割り出した体表面積に応じて、80ミリグラム、100ミリグラム、120ミリグラムの3段階に分けられています。たとえば、体表面積によって、120ミリグラムが適当な量であると割り出された場合でも、副作用が強く出たときなどは、量を100ミリグラムに減らすことも考えられます。

2つ目は、休薬期間を設けたり、投与スケジュールを変えたりする方法です。たとえば、現在、4週間内服して2週間休薬しているのであれば、それを2週間内服して1週間休薬するスケジュールに変えてみるなどして、副作用が小さくなるか試みてみるのもよいでしょう。

3つ目は、副作用を抑える治療を受ける方法です。たとえば、吐き気や食欲不振は、制吐剤を内服することで、かなり改善します。

TS-1は使われるようになってまだ日の浅い薬剤なこともあって、使い慣れていない医師もいます。そのため、適切に減量したり、休薬や投与スケジュールを再検討したりすることができていない場合もあるかもしれません。ご相談者は話し合いのもと、TS-1を中止したようですが、今1度、前述の方法をもとに主治医に相談してみるのも一案です。

TS-1以外で考えられる抗がん剤はUFT(一般名テガフール・ウラシル)です。症例数は多くありませんが、胃がんの手術後の補助化学療法として、UFTにも一定の効果が確認されています。量にもよりますが、UFTはTS-1よりも副作用がさらに軽い傾向があります。

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