遺伝性の甲状腺髄様がん。2歳の娘に、この遺伝子異常は受け継がれるか

回答者:杉谷 巌
がん研有明病院 頭頸科副部長
発行:2009年11月
更新:2013年10月

  

病院の検査で、甲状腺髄様がんと言われました。遺伝子検査の結果、遺伝性のものと説明を受けています。私には、2歳の娘がいますが、異常な遺伝子を受け継いでいるかもしれません。対応の仕方や、検査法、治療法についてアドバイスしてください。

(愛媛県 35歳 男性)

A 男女かかわらず50パーセントの確率で子息に受け継がれる

甲状腺髄様がんは傍濾胞細胞という細胞ががん化して起こるもので、超音波検査や細胞診のほか、血液検査でカルシトニンとCEAという物質の数値が上昇することで診断されます。

髄様がんには遺伝子(RET遺伝子)の突然変異が原因の遺伝性のものと、遺伝に関係ない散発型のものとがあり、血液を少量取って調べること(遺伝子検査)で区別できます。遺伝性の場合、甲状腺の両側に髄様がんができるので、甲状腺全摘手術が必要です。また、副腎や副甲状腺といった他の内分泌腺に腫瘍ができる多発性内分泌腫瘍症のこともあるので、同時に治療をする必要があるかもしれません。異常がなくてもフォローアップが必要です。遺伝性髄様がんの患者さんのご子息には、男女かかわらず50パーセントの確率で遺伝子異常が受け継がれます。娘さんの遺伝子検査も、いずれ行うことをお勧めします。

もし、遺伝子異常があることがわかれば、早期に治療することで治癒することが可能です。

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