甲状腺がん手術後、ホルモン薬の副作用が心配

回答者:林 隆一
国立がん研究センター東病院 頭頸部外科手術部長
発行:2008年7月
更新:2013年11月

  

2007年の11月に甲状腺がん(乳頭がん)の手術を受けました。その直後から、甲状腺ホルモン薬を飲み続けています。この薬を飲まないと、体がとてもだるくなってしまいます。主治医から、甲状腺機能低下症を起こすためと聞きましたが、甲状腺ホルモン薬は一生、飲み続けないといけないとも聞きます。そうした場合副作用は問題ないのでしょうか。

(滋賀県 女性 39歳)

A 亜全摘以上なら、一生服用。副作用は心配ない

ご相談者はおそらく甲状腺の全摘手術か、甲状腺の大部分を切除する亜全摘手術を受けられたのだと思います。そのために甲状腺ホルモンが足りなくなって、内服薬を使って、甲状腺ホルモンを補充しているのでしょう。

甲状腺機能低下症の症状には一般的に、倦怠感、疲労感、皮膚の乾燥、むくみなどが挙げられます。ほかには、筋肉痛、めまい、息切れ、食欲の低下、無気力、女性では、月経過多や無月経になる人もいます。また、高コレステロール血症になることもありますし、治療をせずに長期間、放置していると、心不全を引き起こすこともあります。

甲状腺が半分以上残っていれば、甲状腺ホルモン剤を服用する必要は通常ありません。しかし、甲状腺を全摘、ないしは亜全摘により、体内で甲状腺ホルモンが十分作れなくなった場合には、甲状腺ホルモン剤を服用する必要があります。症状が治まっても、服用をやめずに、飲み続けてください。

甲状腺ホルモン剤の副作用は、ほとんどありません。あるとしたら、反対に甲状腺ホルモンの量が多くなり、甲状腺機能亢進に傾くことです。その際は医師の指示のもと、甲状腺ホルモン剤の服用を一時的にやめるなり、量を減らすなりすれば、症状は治まります。

大切なのは、主治医に定期的に血液のチェックをしてもらうことです。数値や体調にとくに異常がなければ、半年に1回程度のチェックでよいと思います。

また、甲状腺の切除では副甲状腺を一緒に切除することが多く、そのため亜全摘や全摘術の場合、術後に血中のカルシウム値が下がることがあります。

ご相談者の質問にはありませんが、もしカルシウム値も下がるようであれば、主治医に相談の上、甲状腺ホルモン剤とともにビタミンDやカルシウム剤を服用するとよいと思います。

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