乳頭がん再発の疑い。経過観察でよいか
3年前に甲状腺乳頭がんの手術を受けました。そのとき、リンパ節転移もあったと言われていましたが、経過観察をしてきました。先日、定期検診で病院を受診し、エコー(超音波検査)を行ったところ、リンパ節に再発が疑われるような小さな腫れがあると言われました。再発と聞き、非常に不安を感じていますが、主治医は、「経過観察」と言いました。本当に治療しなくていいのでしょうか。
(島根県 48歳 女性)
A 効果の根拠がないため、不要
乳頭がんの手術を行った際、甲状腺周辺のリンパ節郭清をしたけれども、取っていない所のリンパ節に転移が残っていて、数年後に再発することがたまにあります。
ただし、エコーで初めてわかるような、たとえば1㎝にもならないようなリンパ節転移が見つかったとしても、通常乳頭がんの進行は非常に遅いので経過観察を行うことは十分あり得ます。
「再発かもしれないのに、経過観察」と聞くとご心配なさるかもしれませんが、乳頭がんの多くは性質のいいタイプ(低危険度群)で、そんなに心配する必要はありません。
乳頭がんのリンパ節再発で、治療が必要なのは、たとえば目で見てわかる、触ってわかるような大きなもので、再手術をして再発部分やその周辺のリンパ節を丁寧に切除する必要があります。
再手術で切除した後は、追加治療も必要ないことが多く、再び経過観察を行います。
しかし、乳頭がんのなかでも高危険度群で、周囲に浸潤しているような再発である場合、また肺などに遠隔転移があるときは、手術で切除した後、放射性ヨード治療やホルモン療法を行うことがあります。
相談者の場合は、乳頭がんの手術を受けられた際にリンパ節転移があることがわかっていて経過観察を行ってこられたということですので、おそらく性質のよい低危険度群の乳頭がんであったと考えられます。
低危険度群の乳頭がんの生命予後はきわめて良好で、その小さなリンパ節の転移は生涯無害である可能性もあるので、半年から1年間隔で、定期的に経過を見ていくことが良いかと思います。