濾胞がんで骨転移。今後の治療は?
先日、甲状腺濾胞がんという診断を受けました。腰痛があったことから、検査すると骨に転移していることもわかり、不安に思っています。骨転移になにか有効な治療法はあるのでしょうか。今後の甲状腺がんの治療と共に骨転移についての治療法について教えてください。
(秋田県 女性 67歳)
A 骨転移治療はチームで取り組む
濾胞がんは乳頭がんと違い、頸部のリンパ節転移を起こすことは少ないのですが、ときに骨や肺に血行性の遠隔転移を来すことがあります。遠隔転移をおこした甲状腺がんの根治というのはなかなか難しいのですが、今後は、病気の進行を少しでも遅らせながら、がんとうまく付き合っていくことが大切になります。
まず、火元である甲状腺の全摘手術を行い、そのあとは全身治療である放射性ヨード治療を行います。
放射性ヨード治療というのは、甲状腺がヨードを取り込むという性質を利用した治療法です。
本来の甲状腺をすべて除去したあとで、放射能を出すタイプのヨードを服用することにより、甲状腺から発生した濾胞がんの転移がこれを取り込んでくれれば、そこで放出される放射能によりがん細胞が破壊される効果が期待できます。
ただ、残念ながら痛みがあるほどの大きな骨転移ですと、放射性ヨードの取り込みはあまりよくないことが多いです。
骨転移の部位に直接、放射線の外照射を行うと、痛みが軽減し、がんの進行を遅らせることができる場合もあります。
骨転移の治療に関してはそのほか、整形外科的に骨転移の除去を行うこともあります。
脊椎に転移がある場合は麻痺などを起こさないように脊椎を固定したり、除圧を行ったりします。
また、最近では薬剤による治療も有効です。
骨の溶解を防ぐビスホスホネート製剤や抗ランクル抗体薬が投与されます。
痛みに対しては、早い段階からペインコントロール(疼痛管理)の専門家にも診てもらい、痛みをしっかり取っていくことも重要です。
このように、甲状腺内分泌科だけでなく、整形外科や麻酔科などとのチーム医療により、症状をコントロールしながら治療を行っていきます。
今は骨転移といっても5年以上生きられる方が増えていますので、がんと長く付き合っていくという心構えで治療に臨むことが大切です。