子宮体がんⅡ期。広汎全摘しないとダメ?

回答者・岩瀬春子
北里大学医学部産科・婦人科学講師
発行:2014年1月
更新:2014年4月

  

妻(54歳)が子宮体がんⅡ期と言われました。子宮頸部間質に浸潤があるため、広汎子宮全摘出術となるそうです。他の方法はないのでしょうか?

(58歳 男性 栃木県)

手術が原則。術式に注意が必要

北里大学医学部産科・婦人科学講師の岩瀬春子さん

子宮体がんⅡ期の場合、原則として手術をお勧めします。子宮摘出が最善です。ただし、術式として広汎子宮全摘がよいのかについては議論があります。

子宮全摘術には、子宮のみを摘出する単純全摘、子宮を支える靭帯や組織、腟壁などを一部摘出する準広汎子宮全摘、それらを広く含めて摘出する広汎子宮全摘があります。

原則として、子宮筋腫や良性腫瘍のときは単純全摘、子宮体がんやⅠa期の子宮頸がんのときは準広汎全摘、Ⅰb期やⅡ期の子宮頸がんのときは広汎全摘が行われています。つまり、子宮頸部に肉眼的に明らかながんが存在するⅠb期やⅡ期の場合は、子宮頸部の周囲にがんを取り残さないよう、子宮傍結合組織や腟を広く含めて子宮を摘出する必要があるからです。

子宮体がんは、通常では単純ないし準広汎全摘が行われますが、子宮頸部にがんが進展し深く浸潤した場合は、子宮頸がんが存在するのと同じような状況ですので、広汎全摘が勧められています。議論になるのは、頸部間質浸潤の診断自体が本当に確実かという問題と、頸部浸潤を認めるⅡ期症例に広汎全摘を行うことが、予後の改善につながるのかという疑問です。

頸部浸潤があるかないかを診断する手段が確実とは言えず、術式を選択する基準は各施設によって差があるのが現状です。

広汎全摘の後遺症のひとつに排尿障害があります。子宮周囲の靭帯や組織を切除する際、排尿を司る神経を一部切断してしまうことで、膀胱収縮や排尿筋収縮の低下や欠如などが起ります。多くは一時的な神経麻痺であり、2~3週間程度で日常生活に問題ないレベルまで回復します。回復するまでは、訓練として、1日のうちで時間や回数を決めて、間歇導尿を繰り返します。補助的に、排尿筋の緊張を和らげる薬や、尿道の抵抗を減少させる薬の内服を行うこともあります。

ですから、頸部間質浸潤があるという診断の妥当性と、本当に広汎全摘が最もよい選択肢であるかどうかについては、担当医にリスクとベネフィットの説明を受けるべきかと思います。

子宮傍結合組織=子宮頸部と周囲の骨盤壁を結びつける靭帯などの軟部組織 間歇導尿=自分で排尿した後、膀胱内に残った尿を排出するため導尿を行うことをくり返す方法

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