72歳の母は腹腔鏡下手術を受けられるか?

回答者・織田克利
東京大学大学院医学系研究科産婦人科学講座生殖腫瘍学准教授
発行:2016年5月
更新:2016年8月

  

母(72歳)に子宮体がん(大きさ1.2cmほど)が見つかり、手術を受ける予定です。がんは子宮体部にとどまっているということです。主治医の説明だと、開腹して手術を行うとのことですが、色々調べた所、腹腔鏡下手術を行っている病院もあることを知りました。母にできるだけ体への負担が少ない手術を受けさせたいのですが、腹腔鏡下手術を受けるメリット、デメリットなどを教えて下さい。

(46歳 女性 山形県)

適応になる可能性も。ただし、安易な判断は禁物

東京大学大学院医学系研究科
産婦人科学講座生殖腫瘍学
准教授の織田克利さん

腹腔鏡下手術は一定の患者さんに保険で行うことができる治療で、子宮体がんでも普及してきています。主に早期の患者さんが対象になり、この方の場合、がんの大きさと子宮体部にとどまっている状態からすると、腹腔鏡下手術の適応となる可能性があります。

ただし、手術前の検査では早期だろうと思っていても、手術してみるとお腹に広がっていた、ということもあり得ます。もしがんが広がっていた場合には、より広範な手術が必要となり、腹腔鏡下手術は原則としてできません。

また、現状で腹腔鏡下手術が普及してきたとはいえ、どこの病院でも可能というわけではありません。いざ受けるとなったら、手術する体制が整っている施設かどうかの判断が大事です。腹腔鏡下手術については、婦人科腫瘍専門医、産婦人科内視鏡技術認定医といった専門性の高い医師のもとで手術を行うのが望ましいと考えられています。

腹腔鏡下手術は傷口が小さく済み、入院日数が短くて済むといった身体への負担の少なさはありますが、がんをしっかり取りきることが最優先ですので、安易に手術を受ける判断をするのは禁物です。メリットとデメリットをトータル的に判断することが大切です。

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