子供が欲しい。卵巣をとらない治療法は?

回答者:喜多川 亮
NTT東日本関東病院 産婦人科医師
発行:2012年3月
更新:2013年10月

  

子宮がん検診を受けたところ、子宮筋腫か子宮肉腫の疑いがあると医師からいわれました。3カ月後もう1度検診に行き、そこで最終的な判断が下されるそうです。もし悪性である子宮肉腫だった場合は、早急な子宮の摘出を勧められており、その際に、卵巣と卵管も切除したほうがよいといわれました。子宮筋腫か子宮肉腫か、今の段階ですぐにわかる方法はないのでしょうか。もう1人子供が欲しいのです。子宮肉腫だった場合、医師のいう通り卵巣や卵管を切除するしかないのでしょうか。

(青森県 女性 44歳)

A 子宮肉腫の場合、卵巣・卵管を含む切除手術を勧める

現状では、子宮肉腫を術前に断定できる診断法はありません。子宮肉腫は、腫瘍の内部に出血や壊死を伴うのが特徴です。しかし、子宮筋腫に栄養が届かなくなってその部分が壊死することもあり得るので、必ずしも子宮筋腫と子宮肉腫とでは特徴が違うとは言い切れません。よって、子宮肉腫の判断が比較的わかりやすい検査としてはMRIがありますが、それでも違いを識別することは難しいのです。また、PET検査も信頼性は確立しておらず、血液検査もがんが進行していない場合には絶対的な有効性がありません。

相談者が3カ月後に再び来院を促されたのも、診断が確定できないためかと思われます。子宮肉腫は腫瘍が大きくなるスピードが早いことから、女性ホルモンによって徐々に大きくなる子宮筋腫と区別することができやすくなるからです。

子宮体がんの検査と同様に、子宮の奥の組織を取り、検査することもあります。この検査をして、子宮肉腫の可能性がかなり高いと判断された場合、ほとんどは手術をします。

手術をしなければいけなくなった場合は術中迅速病理組織検査と呼ばれる検査を行うこともあります。手術中に腫瘍部分から組織を少し取り、調べるのですが、この検査でも精度が絶対ではないので、子宮肉腫と診断するのはなかなか困難です。しかし、この検査により悪性のがん細胞が確認されたり、術前に肺など子宮の外に明らかに転移が確認された場合、ほぼ子宮肉腫と考えて間違いないでしょう。

もし仮に子宮肉腫だった場合、再発のことを考え基本的には子宮とともに卵巣、卵管を摘出することをお勧めします。それを実際に行っても、1期の子宮肉腫の再発率は3~4割あります。卵巣、卵管を残した場合、1期という病期の保証もなくなり、再発率がさらに高くなることもあり得ます。

また、子宮筋腫だと判断し、子宮を温存するために行う核出術(子宮筋腫だけをくり抜く手術)を行ってみて、手術後に子宮肉腫であることが判明した場合、子宮の血管に肉腫の成分をたくさん押し込んでしまったり、腫瘍の一部がお腹の中にこぼれたりして、再発の可能性が非常に高くなります。したがってあまり核出術はお勧めできません。

44歳の相談者の場合、1人いるお子さんのためにも最善の治療を選択してほしいと思います。しっかり手術をして、卵巣、卵管を摘出することをお勧めします。

MRI=核磁気共鳴画像法 PET=陽電放射線断層撮影

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