腫瘍内科医のひとりごと 154 患者サロン

佐々木常雄 がん・感染症センター都立駒込病院名誉院長
発行:2023年10月
更新:2023年10月

  

ささき つねお 1945年山形県出身。青森県立中央病院、国立がんセンターを経て75年都立駒込病院化学療法科。現在、がん・感染症センター都立駒込病院名誉院長。著書に『がんを生きる』(講談社現代新書)など多数

がん拠点病院には、「がん相談支援センター」があります。そこには、看護師や医療ソーシャルワーカーなどの専門相談員がいて、がんに関する治療法の一般的な情報、療養生活、就労や医療費に関することなど相談ができます。

患者の診断や治療法などは、担当医や看護師から説明されますが、それ以外、一般的なこと、子どものこと、家族が亡くなった場合なども含めて、ありとあらゆる相談に対応してくれます。

診断を待つ間、治療中、治療後の心配、あるいは家族のことでも対応してくれます。

拠点病院にある患者が語り合う場

また、拠点病院には「患者サロン」というのがあります。患者サロンは、患者や家族が集まり、病気の悩み、体験などを語り合う場です。そこでは患者同士が、自分の体験などを、たとえ、そこで問題は解決しなくても、気持ちのつらさ、不安を語り合い、交流できる場です。

ある拠点病院の患者サロンには、がんに関するさまざまなパンフレットや講演会などのお知らせが置いてありました。

ただ、患者サロンで注意しなければならないことがあります。それは、そこで話し合って知りえた個人情報は他の場では話さないこと、健康食品の販売、宗教活動、特定の患者会への勧誘などは行なわないことなどです。

患者サロンは、あくまで患者が主体です。病院側、医療者には話し難いことなどでも、患者や家族同士が語り合うことによって、勇気づけられたり、安心できたり、希望が持てたりすることです。

患者とその家族、友人などが気軽に訪れることができます。そこで、孤立しがちな患者や家族の相互・連帯の雰囲気が生まれ、ある患者は、「患者サロンで話しあっているうちに、社会の中で生きているという実感が取り戻せた」「感情を表出して気持ちが整理できたりした」と話されていました。

患者サロンのことで相談したいことがあれば、がん相談支援センターが対応してくれると思います。

病院のサロン外にも同じような場が

がんのことで、相談できる、話しあえる場は、病院の患者サロン以外でもあります。例えば、「マギーズ東京」というのがあります。

そこには、がんに詳しい看護師・心理士がおられ、がんになった人とその家族、友人などが、気軽に訪れて、安心して話せる場のようです。

そのホームページでは、「がんに影響を受けるすべての人が、自分の力を取り戻せるように」「自然を感じられる小さな庭やキッチンがあり、病院でも自宅でもない、第二の我が家のような空間で、海風を感じながら、自由にお茶を飲み、ほっとくつろいでみませんか」とあります。

さまざまなグループ・プログラムも開催しているようです。大勢の方のチャリティ(寄付や協力)で運営されていて、無料で利用できるようです。主催されている方々には頭が下がります。

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