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COPD合併がん患者さんのがん治療

実は多いCOPD合併。感染に気をつけ、栄養と運動を

監修●関根康雄 東京女子医科大学八千代医療センター呼吸器外科科長・医療安全対策部部長・教授
取材・文●中田光孝
発行:2014年4月
更新:2019年7月

  

「COPDと肺がんは関連性があり、肺がんのスクリーニングとしても期待しています」と話す関根康男さん

慢性閉塞性肺疾患(COPD)は喫煙などが原因で肺に慢性的な炎症が起こり、その結果、気道(気管支)が閉塞し、呼吸機能が低下する病気である。患者数は世界中で約2億1,000万人とも言われ、2005年には300万人以上がCOPDで亡くなっている。世界的な喫煙率の低下に伴って将来的には患者さん数が減少すると考えられているが、日本では現在のところ高齢者人口比率の増加に伴い年々患者数が増加している。COPDの症状、COPDとがんを合併した患者さんの治療とは――。

COPDは肺の収縮が悪くなる

COPDはどのような病気なのかについて、東京女子医科大学八千代医療センター呼吸器外科部長の関根康雄さんは「肺を風船に例えると、若く健康な人の肺は新しいゴム風船で良く膨らみ、良く縮みます。

一方、COPDの患者さんの肺は伸びきったゴム風船のように膨らみはするものの縮み(収縮)が悪い。そのため息を吐いても肺の中に空気がたくさん残ってしまい、酸素を取り入れて二酸化炭素を吐き出す換気の効率が悪く、酸素の取り込みが不足します」と説明している。

また、COPDは40代、50代で罹っても、症状がほとんどない場合が多く、60代になって老化とともに症状が出始めて、初めてCOPDと診断される人がほとんどという。

日本国内のCOPD患者さん数については正確なデータがないが、530万人程度と推計されており、そのうちCOPDと診断されているのは10%程度、50万人もいないと考えられている。

COPDの原因として最も多いのは喫煙で、日本ではこれが大部分を占める。それ以外では空気中の有害物質、中国で問題になっているPM2.5なども原因になるそうだ。

COPDは肺がんを起こす

また、COPDは肺がんの原因になることが知られている。たばこを吸うことで、どのくらい肺に悪い影響があるかは、人によって異なる。たばこに対する抵抗力が弱い人ほど肺組織が壊されてCOPDに陥りやすい。一度COPDになると肺の組織で常に炎症が起こっている状態になり、それが原因となってがんが発生しやすくなる(図1)。

図1 正常な肺とCOPDを合併した肺がん(X線写真)

肺がん患者さんの約8割は喫煙者であり、そのうちCOPDの合併は30%程度。またCOPDから、がんになる率は1年に患者さん全体の1%程度だ。

「同じ量のたばこを吸っていても、COPDになる人は同じ量のたばこでCOPDにならない人の7倍くらいがんになりやすいです」

COPDになりやすい人は分解酵素などの遺伝子に異常があり、分解酵素が作られなかったり、過剰に作られたりするのでCOPDに罹りやすいと考えられている。

主な症状は運動時の呼吸困難

表2 COPD重症度分類

1秒率(%FEV1)=1秒量(FEV1)を努力肺活量(FVC)で割った値
(FEV1、FVCについては表3の説明を参照)

COPDの症状で特徴的なものは運動した際(労作時)の呼吸困難と咳や痰である。これらの症状は気管支の閉塞と肺から空気が出て行きにくいために起こる。

例えば運動することで、肺はより多くの空気を取り込もうとするが、COPD患者さんは十分に息を吐き出せないので、息を吸えば吸うほど肺の中の空気が多くなってしまい、しかも酸素を十分取り込めないので、非常に息苦しく、病気が重くなるほど、その傾向が強くなる(表2)。

次にCOPD治療の基本は禁煙と運動療法で、後者は軽い運動をしながら、ゆっくり息を吐く練習をする。薬物療法では気管支喘息の治療に使われる気管拡張薬(β刺激薬)と吸入ステロイド(副腎皮質ホルモン)が中心になる。

一方、COPDの診断は呼吸機能検査で使われるスパイロメーターという検査装置で思い切り息を吐き出す「努力肺活量(FVC)試験」を行い、最初の1秒間の排気量(一秒量、FEV1)が総肺活量の70%を切った場合にCOPDと診断される(表3)。

表3 スパイロメーターによる肺活量検査項目とCOPD診断基準

(日本呼吸器学会COPDの診断と治療のためのガイドライン第4版より)

COPD患者さんで注意すべきことの1つが感染症だ。COPD患者さんでは肺の中で常時炎症が起こっている(慢性炎症)ので非常に感染を起こしやすく、関根さんは特に高齢のCOPD患者さんは肺炎球菌ワクチンとインフルエンザの予防接種は必ず受けるべきだと注意を喚起する。

現在、65歳以上の肺炎球菌ワクチン接種には地方自治体の医療費補助が得られる地域が多いが、COPDの場合、65歳未満で呼吸困難などの症状がある重症のCOPD患者さんは非常に少ないので、COPDの症状がなくても予防接種に対する意識が必要だ。

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