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安心して臨床試験を受けるための基礎知識
5.臨床試験に関する用語解説

監修:渡辺亨 浜松オンコロジーセンター長
取材・文:林義人
発行:2006年12月
更新:2013年12月

  

渡辺亨さん
浜松オンコロジーセンター長の
渡辺亨さん

【GCP】

臨床試験の実施にあたっては、製薬会社、医療施設、医師などが守らなければならないルール。Good Clinical Practice(=医薬品の臨床試験の実施の基準の関する省令)の略。欧米諸国をはじめ国際的に認められている。そのようなルールは以下のようなもの。

・治験内容の国への届出
製薬会社は、治験を担当する医師が合意した「治験実施計画書」(服薬量、回数、検査内容・時期などが記載された文書)を厚生労働省に届け出る。厚生労働省はこの内容を調査し、変更等の指示を出す。

・治験審査委員会での審査
治験審査委員会が「治験実施計画書」に関して、被験者の人権と幸福を守って薬物の効果を科学的に調べられる計画になっている計画になっているか、治験を行う医師は適切か、被験者に治験の内容を正しく説明するようになっているかなどを審査する。

・インフォームドコンセント(十分な説明に基づく同意)

被験者に臨床試験の目的や方法・予想される効果や副作用などを説明したうえで、「参加するもしないもあなたの判断で決めてください」と自由意思にまかせて了解を得る。

・副作用の発生報告

治験中に起こったこれまでに知られていない重大な副作用は治験を依頼した製薬会社から国に報告され、被験者の安全を確保するために必要に応じて治験計画の見直しなどを行う。

・治験計画の適正な進行を確認
治験を依頼した製薬会社の担当者(モニター)は、治験の進行を調査して、「治験実施計画書」やGCPの規則を守って適正に行われているかを確認する。

【CRC】

治験スタッフ。Clinical Reseach Cordinaterの略。看護師や薬剤師などの経験を生かしながら、治験を円滑に進めるための様々な業務を管理する役割を持つ。日本ではこうした専門スタッフがまだまだ日本では少なく、現在養成が進められている。

【プラシーボ】

ヒトの体には、とても不思議な一面があって、乳糖やでんぷんなど、薬ではないもので錠剤やカプセル剤をつくり、頭痛の患者に「薬」として服用してもらうと、半数くらいの人が治ってしまうことがある。「効く薬を飲んだ」という安心感が、体にひそむ治癒力を引き出すわけで、これを「プラシーボ(偽薬)効果」という。

臨床試験では、 治験薬とプラシーボの比較ということが行われる。一般的な臨床試験では、治験薬の効果を調べるには、すでにあるそれと似た薬と比較して「どちらが効くか」を調べる方法が取り入られる。しかし、治験薬がいままでにないタイプの新薬であったりした場合、比較すべき適当な薬がない場合には、外観や味を治験薬とまったく同じにしたプラシーボをつくり、治験薬がプラシーボと比較してはっきりと上回る効き目があって、初めて薬として認められる。

【二重盲検法】

公正で客観的なデータを得るための試験法。患者さんをくじ引きで2グループに分けて、一方のグループには本物の治験薬を渡し、別のグループにはプラシーボを渡してどちらのグループのほうが治療成績がいいかを比較する試験。この試験では医師にも患者さんにも、先入観などが入ってしまうのを避けるために本物の治験薬なのかプラシーボなのかを教えない。被験者である患者さんの病気の程度や、食生活習慣の違いなどの影響によるデータのかたよりが起こらないように、できるだけ多くの患者を対象にし、専門の病院で試験を実施します。


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