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安心して臨床試験を受けるための基礎知識
4.臨床試験を受けるにはどうすればいいの?

監修:渡辺亨 浜松オンコロジーセンター長
取材・文:林義人
発行:2006年12月
更新:2013年12月

  

渡辺亨さん
浜松オンコロジーセンター長の
渡辺亨さん

欠かせないインフォームド・コンセントと同意説明文書

臨床試験を行うにあたって、あらかじめ協力を求める患者さんに対して詳しい説明がなされ、十分に納得が得られた人々に参加していただくことが大前提になる。

新しい薬剤、新しい治療法、新しい薬剤の組み合わせについて臨床試験が計画されている場合、通常は担当医から患者さんに「臨床試験に参加しませんか?」と同意を求められる。そして、ここでは「何を目的とした試験か」、「薬をどういうふうに使うか」、「どういう検査をするか」、「どういうスケジュールで行うか」、「どういう副作用が考えられるか」、「どういう効果が期待できるか」、「副作用で被害を受けたとき、どのような補償を請求できるか」、「治験に参加しない場合どういう治療法があるか」、「途中で副作用がつらい、自分にはあっていないと思ったら、いつでもやめられる」といった説明がなされ、理解を求められる。

またこれらのことを文書にした「説明同意文書」というものが必ず渡されるので、これらをよく読んで理解して同意の自筆署名をする。その場で決めなくても、家に持ち帰って家族と相談してから決めることもできる。

こうして臨床試験参加の手続きが進められるが、試験に参加するといっても、特別な医療施設へ出かけて行うわけではなく、その施設で普通の医療を受けるように進められる。

また、病院によっては担当医以外にCRC(治験コーディネーター)という職種の専門家がいて、臨床試験の参加希望者について説明する。ただし、CRCは今のところどこの病院でも完備しているわけではないが、確実に増加している。

カルテ、検査結果には、患者さんの名前、住所、電話番号などが記載されているが、プライバシーは厳重に保護される。

さて、臨床試験に参加することについて、「モルモット代わりにされるのではないか」という疑問を抱いている人もいるはずだ。が、がん治療の臨床試験に参加することで、危険に陥るということはまずない。むしろ、医師や看護師は、臨床試験に参加した患者さんを常に慎重に見守ることになるので、健康状態十分なケアを得られるようになる。副作用や効果の出方を複数の医師や看護師の目で十分に観察され、そのなかで多少なりとも危険性が感じられれば直ちに臨床試験は中断され、適切な治療が行われることになる。

このように適切なインフォームド・コンセントを得て、それにあなたが納得して一旦は臨床試験への参加を承諾したとしよう。が、ここでなんらかの事情で同意を撤回したくなっても、あなたにはその自由が保障されているのだ。

「治験に参加すれば、患者さんが受けた新しい治療についてのデータがまとめられて、安全性と有効性を示す貴重な科学的な資料になります。その資料が新薬の承認に使われるし、海外からの輸入承認に使われるし治療方法を塗り替えるような根拠、すなわち『将来への贈り物』になるわけです」

説明文書に書かれていること

(記載内容はGCPで定められている)

  • ・治験の目的、治験薬の使用方法、検査内容、参加する期間
  • ・期待される効果と予想される副作用
  • ・治験への参加はいつまでもやめることができ、不参加の場合でも不利益は受けないこと
  • ・カルテや検査結果などの医療記録は、製薬会社、厚生労働省、治験審査委員会がチェックする
  • ・担当医の氏名と連絡先
  • ・治験に関する質問、相談のための問合せ先


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