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2015_dec_i

人口高齢化に伴い罹患者数が増加

監修●渡邊清高 帝京大学医学部内科学講座腫瘍内科准教授

人口の高齢化に伴い、がん患者の平均年齢も高くなり、多くのがん患者が、がんと診断された際に糖尿病などがん以外の病気、つまり併存疾患(併存症)を持っていることが明らかになっている。併存疾患はがん治療の効果、副作用などの面で大きな影響を及ぼすことになるため、併存疾患を持つ人にはより慎重な対応が必要となってくる。

米国のがん患者における併存疾患の有病率と重症度別の生存率

文●「がんサポート」編集部

既存のデータから併存疾患の有病者数(率)を算出する試みもなされているが、如何せん現在実施されている「がん登録」では、登録項目に「併存疾患」が存在しないため、十分な成果が得られていない。そこで、人種や医療体制などは異なるが、米国で65歳以上の高齢者における併存疾患の有病者数(率)などを示したレポートがあるので紹介する。

臨床研究を積み重ねることが急務

監修●長島文夫 杏林大学医学部内科学腫瘍内科准教授

日本のがん罹患者の65歳以上の割合は約3分の2。併存疾患を抱えていたり、生理的・精神的な機能の低下が見られる高齢者も多く、標準的ながん治療を行うかどうかの見極めは重要だ。そのため、高齢がん患者に対し、リスクを評価して治療法を選択していく必要性が高まっている。高齢期のがん治療の現状と対策、高齢がん患者の機能評価などについて、専門医に伺った。

がんにより心血管系の問題が生じやすくなる

監修●志賀太郎 がん研究会有明病院総合診療部循環器内科医長

心臓や血管など循環器に疾患を併発する患者は多い。がんになる前からの病気が顕在化したり、がん治療の副作用で起こってしまったりとその形態は様々だ。循環器診療とがん診療との連携を強めようという動きも出てきている。循環器疾患を併発する症例への対応について専門家に伺った。

ステロイド薬や一部の分子標的薬で高血糖を引き起こすケースも

監修●納 啓一郎 国立がん研究センター中央病院総合内科医長

日本人の2人に1人ががんに罹る時代、高齢化社会の進行と糖尿病患者数の増加とが相まって、糖尿病とがんを併発する患者数は増加の一途をたどっている。では、実際に糖尿病を患っているがん患者の治療はどのように進めていくべきなのか。高血糖を来してしまう薬剤の存在、食欲不振時の対応などについては、患者もぜひ知っておきたいところだ。

進行すると体重・筋肉量減少を引き起こすので要注意

監修●滝口裕一 千葉大学大学院医学研究院先端化学療法学/医学部付属病院臨床腫瘍部教授

肺疾患の中でも潜在患者が530万人以上と推測されている慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、喫煙歴が深く関係している病気。高齢者になるほど有病率が高く、COPDを併存していても気づいていないがん患者が少なくないという。COPDの症状や治療法、がん治療への影響や治療中に注意することなどについてレポートする。

手術での腎全摘が最も有効な治療法

監修●中澤速和 東京女子医科大学東医療センター泌尿器科臨床教授

透析治療を受けている患者は腎がんの発症頻度が高くなることが知られている。透析期間が長くなると発症リスクはさらに高まり、他臓器に転移している場合は予後が非常に悪い。早期発見のための定期的な検査が欠かせない。

抗ウイルス薬、栄養療法、血行改変術などで対応

監修●持田 智 埼玉医科大学教授/消化器内科・肝臓内科診療部長

慢性肝炎や肝硬変など、肝疾患を抱えたままがんになる人が少なくないが、肝機能が著しく低下していると、がんの手術や化学療法が十分にできないことがある。しかし、肝疾患に対する治療が進歩して、かつては「治らない病気」といわれた肝硬変も治せる時代となり、肝疾患を上手にコントロールしながらのがんの治療が可能になっている。

日常生活が維持できるようサポートを

監修●小川朝生 国立がん研究センター東病院精神腫瘍科長/先進医療開発センター精神腫瘍学開発分野長

高齢のがん患者が増えているのに伴い、認知症を併存している患者も増加している。認知症を併存している場合、家族や医療者は患者の意思決定をどのようにサポートしていけばよいのだろう。また治療にはどのような問題があり、家族はどう対応したらよいのだろうか。がん患者の認知症の現状と課題についてレポートする。
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