術後3カ月から腹痛や吐き気、嘔吐でつらい

回答者・山口俊晴
がん研有明病院副院長/消化器センター長
発行:2015年1月
更新:2019年7月

  

ステージ1aの早期の胃がんで、胃の2/3を切除する手術をしました。術後10日間で体重が3kg落ちましたが、早食いをせず、数回に分けて少しずつ食事をしていたせいか、とくに問題はありませんでした。ところが3カ月過ぎたころから、めまい、吐き気、腹痛などの症状が現れました。大人の半分量を食べただけで胃がモヤモヤして吐いてしまい、食べることにストレスを感じています。何か対処法はあるでしょうか。

(31歳 女性 静岡県)

無理に食事はせず、就寝前の食事も控えて

がん研有明病院副院長/消化器センター長の山口俊晴さん

通常、胃切除術を行うと体重は5~10%程度減少します。術後10日で3kg減ったのは、水分の補給が十分でなかった可能性が高いでしょう。

その後の症状はダンピング(食事が胃にとどまらず、急速に小腸まで落ちてしまう状態)によるものだと思います。また、食べ物が胃の中に常に溜まった状態が続いている可能性があります。痩せてきたので食べなくてはいけないという気持ちから、胃に食べ物が残っているのにさらに食べることで、状況を悪くしているようです。

胃がもたれたときは、無理に食事をせず、水分(スポーツドリンクなど)の補給にとどめたほうがよいでしょう。また、就寝中は消化管の運動能力が低下するので、夕食を食べてすぐに寝たり、就寝直前に食べると、食べ物が翌朝まで胃に残り、朝食が食べにくい状態になります。夕食後は固形物をとらないよう注意しましょう。個人差はあるものの、食べられる量は時間とともに増えてきますので、少なめに食べることがコツです。そのほか、脂っぽいものを避ける、薬(ガスモチンなど)を服用するなどの方法もありますが、基本的にはダンピング症状は改善していきますので、焦らず、上記の注意を守って生活してください。

ガスモチン=消化管運動機能改善薬(胃の働きを活発にして、吐き気や嘔吐などを改善する薬)

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