がんの大きさが2㎝以上。内視鏡治療は可能か
検診で早期の胃がんが判明しました。がんは粘膜内に留まっていて、大きさは3.5㎝ほど。タイプは分化型で潰瘍の跡はありません。できれば内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を受けたいと思っています。その場合、適応はがんの大きさが2㎝以下となっていますが、調べてみると施設によっては、2㎝以上でもこの治療法を行っているようです。私の場合は内視鏡治療の適応になりますか。また治療後、再手術になるケースもあるのでしょうか。
(55歳 女性 東京都)
A 可能だが、術後の病理検査で追加治療になる場合も
がん研有明病院副院長/消化器センター長の山口俊晴さん
内視鏡治療は、がんの大きさが2㎝以下、分化型、潰瘍の瘢痕(傷跡)がない、粘膜内がんであることが適応の条件です。ただし、がんの大きさが2㎝以上あっても、その他の条件が同じであれば、リンパ節転移の可能性が低いため、臨床研究として行ってもよいと、適応が拡大されています。したがってご相談者の方の場合も、臨床研究としてESDを受けることが可能です。
内視鏡治療後は、切除した病変部の病理検査を詳しく行い、がんの深さや組織型が予定通りであったか、またがんを取り残していないかどうか判断します。何も問題がなければ経過観察となりますが、予想よりもがんが深く粘膜下層まで浸潤していたり、リンパ管や血管の中にがん細胞が入り込むなど、リンパ節転移の可能性がある所見が見られた場合には、外科的な追加治療が必要になります。
また、ESDは大きな病変ほど高い技術が必要で、治療に要する時間も長くなります。病変が大きい場合は、とくにESDの実績のある施設を選ばれるとよいでしょう。