R-CHOP療法したが中枢神経浸潤で再発。DHAP療法で完治は難しいか

回答者・岡元るみ子
千葉西総合病院外来化学療法センター長/腫瘍内科部長
発行:2015年10月
更新:2016年1月

  

父(71歳)が一昨年(2013年)にびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)と診断されました。R-CHOP療法をして寛解しましたが、今年に入り中枢神経浸潤で再発しました。主治医から、若くて体力がある場合には自家造血幹細胞移植を行うが、父の場合は高齢なため、DHAP療法を行う方針と聞きました。やはり完治は難しいのでしょうか。

(35歳 女性 愛知県)

再発部位がどこか、主治医に確認することをお勧めする

千葉西総合病院外来化学療法
センター長の岡元るみ子さん

悪性リンパ腫が再発した場合には、救援療法が行われます。救援療法にはDHAP療法以外にも、ESHAP 療法、ICE療法、CHASER療法など、いくつかの治療法があります。ただし、治療効果という点ではどの治療もあまり差はありません。まずは、再発した部位がどこなのか、主治医に確認されることをお勧めします。ご相談文には書かれていませんが、お父様は表在リンパ節、縦隔リンパ節や腹腔内リンパ節など中枢神経以外に再発したと考えられます。

そのため主治医からDHAP療法を勧められたのでしょう。自家造血幹細胞移植は、一般的に中枢神経に浸潤している場合には行いません。移植を行わなくても救援療法で病変が小さくなり、寛解に入る可能性はありますし、もし病変が完全に消失し、その状況がずっと続けば、完治にも繋がっていきます。またDHAP療法で効果が見られなくても、異なる化学療法の組み合わせの治療法があります。

中枢神経(脳や脊髄)浸潤のみで再発した場合には、メトトレキサートの大量投与が有効です。この薬剤は血液脳関門を通過し、中枢神経に浸潤した病変にも有効な治療法になります。腎機能が低下している場合は、かわりに、放射線治療が行われることもあります。

R-CHOP療法=リツキシマブ-シクロホスファミド+ドキソルビシン+ビンクリスチン+プレドニゾロン DHAP療法=デキサメタゾン+シスプラチン+シタラビン ESHAP療法=エトポシド+メチルプレドニゾロン+シタラビン+シスプラチン ICE療法=イホスファミド+カルボプラチン+エトポシド CHASER療法=エトポシド+デキサメタゾン+シクロホスファミド+シタラビン+リツキシマブ 表在リンパ節=頸部、腋窩、鼠径部など皮膚表面に触知できるリンパ節のこと メトトレキサート=商品名メソトレキセート

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