異型子宮内膜増殖症。子宮は摘出すべきか
不正出血が続いたため、子宮体がん検診を受けたところ、細胞診でクラス3bの複雑型異型子宮内膜増殖症と診断されました。担当医の先生は「子宮内膜全面掻爬(子宮の内側の内膜をかき出すこと)をしてから経過観察することも可能だが、がんの疑いが強く、がんでなかったとしてもがんに進行する可能性が極めて高いため、子宮全摘を考えたほうがいい」と言います。しかし、私にはまだ子宮を失うことへの抵抗感があり、後遺症なども心配です。それでも子宮を摘出したほうがいいでしょうか。子宮全摘に代わるよい治療法もあれば、教えてください。
(新潟県 女性 40歳)
A 黄体ホルモン療法を試す手も
子宮内膜増殖症は、子宮内膜の細胞が異常に増殖する病気で、子宮内膜がんの前がん病変と考えられています。がん化しやすさによって、(1)単純型内膜増殖症、(2)複雑型内膜増殖症、(3)単純型異型子宮内膜増殖症、(4)複雑型異型子宮内膜増殖症の4種類に分類されます。米国の研究データによれば、将来、がんになる可能性は、(1)が1パーセント、(2)が3パーセント、(3)が8パーセント、(4)が29パーセントです。細胞に異型が伴う(3)と(4)はがんになりやすく、とくに、(4)は病期0期のがんとも考えられています。
(4)と診断されても、一部にがんが混在している場合もあります。しかし、子宮内膜組織診では組織の一部しか採取しないため、がんを見つけられるとは限りません。そこで、下半身麻酔で十分な痛みを取ったうえで、子宮内膜全面掻爬をして、病理検査をする必要があるわけです。
(1)と(2)では経過観察が一般的で、月経不順や不正出血、過多月経といった症状のある場合は、黄体ホルモン(プロゲステロン)やピルを服用する方法もあります。(3)と(4)では治療が一般的。妊娠希望がある閉経前の女性であれば、高用量プロゲステロン療法を半年間行う方法もあります。腫瘍が消失すれば、妊娠は可能です。
ただし、妊娠希望がないか、リスクの高い閉経後の女性であれば、単純子宮全摘術が望ましいでしょう。プロゲステロンでは治らないことがあり、治ったと思われても再発することがあるからです。ちなみに、子宮全摘による後遺症はほとんどありません。
ただし、手術にどうしても抵抗がある場合は、3カ月おきに子宮内膜組織診を行い、子宮内膜増殖症ががん化していないかどうか注意しながら、高用量プロゲステロン療法を試してもいいでしょう。