右の腎臓を摘出。水分を毎日、1.5リットル以上とるのは苦痛
腎細胞がんで右の腎臓を全摘しました。手術後、主治医から水分を毎日、1.5リットル以上とるように言われたのですが、とても苦痛です。水分摂取が少ないと、残された腎臓に負担がかかるのでしょうか。また、1.5リットル以上の水分をとることは必要ですか。
(秋田県 女性 59歳)
A 脱水症状を起こしやすい。いつもの「1.5倍」を心がけて
腎臓では、水分をはじめ、尿酸や、ナトリウム、クロールなどの電解質の代謝産物の出し入れが行われています。これらを効率よく代謝させるためには、腎臓が適切に働き、尿をつくる必要があります。水分が少ないと、十分な尿をつくることができなくなります。しかし、どんな場合であっても、タンパクなどの代謝産物である尿酸などは排泄しなくてはなりません。
したがって、水分摂取が少ない場合、腎臓は尿を作りだすために強い濃縮力を必要とし、かなりの負担がかかります。
通常の日常生活では、のどの渇きにまかせて水分をとっていればよいのですが、激しい運動や下痢をしたり、蒸し暑い中にいたりした場合などは、不感蒸泄(皮膚や呼気からの水分の喪失)が増え、気がつかないうちに脱水状態になってしまいます。
そうした場合には、やや多めの水分摂取を心がけると、腎臓はそれほど強い濃縮力を必要とせず、楽に尿を作り出すことができ、その結果、腎臓に負担がかからないことになります。
腎臓が1つか2つの違いは、たとえると、高速道路を1000ccの車で走るのと、2000ccの車で走るのとの違いです。
2000ccの車では、時速100キロの巡航速度で走り続けても余裕がありますが、1000ccの車では、負担がかかり、オーバーヒートしやすくなります。
そこで、エンジンを無理に回さないように、十分な量のガソリン(人体では水分に相当)を補給するでしょう。
人の身体もこれと同じ理屈で、腎臓が1つの場合は、ふだんより多めの水分摂取を心がけたほうがよいのですが、1.5リットル以上というよりは、ふだんの「1.5倍」の量を心がけるとよいと思います。
「水分」は水のほか、緑茶、紅茶、コーヒーなどでも構いません。ただし、ビールなどのアルコール飲料は除外してください。また、暴飲暴食は腎臓に負担をかけるため控えてください。