大きさ3センチ、リンパ節転移あり。手術は可能か

回答者:坪井 正博
神奈川県立がんセンター 呼吸器外科
発行:2010年5月
更新:2019年8月

  

これまで健康そのものだった66歳の父の右肺に、肺がんが見つかりました。非小細胞肺がんの扁平上皮がんとのことです。腫瘍の大きさは3センチを超えていて、右肺の肺門にはリンパ節転移があるとのことです。手術は可能でしょうか。

(茨城県 女性 37歳)

A 標準的治療は手術。術後に化学療法を行う

扁平上皮がんで大きさが3センチを超え、右肺肺門のリンパ節転移があるとのことですから病期は2A期と考えられます。この病期の標準的治療は、手術で、術後に化学療法を行うことです。体力的にあるいは精神的に手術ができない、手術を受けたくない人には放射線治療あるいは化学放射線療法が薦められます。

手術を受けるためには、いくつかの条件が必要です。主に喫煙が原因で起こるCODP(慢性閉塞性肺疾患)などで肺機能が低下していないこと、心臓などの臓器機能の低下がないことに加えて、手術に耐えられる体力があること、手術を受けて頑張っていこうという気力や、メンタリティがあることなどが求められます。

お父さんは、これまで健康そのものだったとのことですから、頑張っていこうという気持ちさえあれば、手術はできると思います。手術を受けることを、お勧めします。手術後は、体力的に問題がなければ、治療効果を高めるために、抗がん剤治療を行います。

ちなみに、正確な病期は術後の病理検査によって決まります。手術前の検査で2A期と判断していても、病理検査をしたら、リンパ節転移はなく、1B期だったということもあります。その逆に、リンパ節転移が、肺の入り口から肺と肺に囲まれた縦隔と呼ばれるところまで及んでいて、3A期だったということもあります。病状を正確に把握するうえで、手術は重要な情報源でもあるわけです。

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