化学放射線療法後に局所再発。望ましい治療法は?
68歳の夫のことでご相談します。3期の胸部食道がんと診断され、化学放射線療法を受けました。1度は治ったのですが、今年の2月に再発が判明しました。再発は局所で、がんは比較的浅い位置(粘膜下層)にとどまっているそうです。治療法はEMR、光線力学療法(PDT)、外科手術の3つを提案され、いろいろ説明を受けましたが、とくに光線力学療法についてよく理解できませんでした。光線力学療法とはどういった治療法でしょうか。また、夫の場合、どの治療法を選択するのがより望ましいか、アドバイスをお願いします。
(宮城県 女性 65歳)
A 一般的には手術。光線力学療法なども考えられる
光線力学療法も内視鏡治療の一種です。光線力学療法とは、食道に挿入した内視鏡で患部を見ながら、そこにレーザー光線を当てる治療法です。具体的には、がん細胞に集まる性質を持ち、なおかつ光に感受性のある薬剤を静脈内に注射します。2~3日後、その薬剤の集まった場所にレーザー光線を当てて、がん細胞を壊死させます。注射をしてから約1カ月間は直射日光に当たらないようにすることが必要で、治療に要する入院期間は約2週間です。
3期の食道がんで化学放射線療法を受け、その後、局所再発した人に対する標準治療は、まだ確立していません。ただし、一般的には外科手術が行われています。
手術のメリットは治療の確実性が高いことです。つまり、治る確率は最も高いといえます。ただし、体への負担が最も大きいのも手術です。とくに化学放射線療法後は、放射線の照射で組織が硬くなっているため、難しい手術になりがちで、手術後に縫合不全や肺炎などの合併症が起こる割合も高くなります。
粘膜下層の中でも、がんが浅い位置にとどまっているのであれば、EMR、すなわち内視鏡的粘膜切除術でがんを完全に取り切れる可能性が高いと思います。粘膜下層の深いところまでがんが進んでいるのなら、EMRで取り切るのは困難なため、それよりは光線力学療法を勧めます。
ただし、内視鏡治療はいずれも局所に対する治療なので、リンパ節転移のあった3期の食道がんの再発に対しては、不確実な治療になる可能性もあります。
治療の確実性と体への負担を考えると、治療法の選択は難しいところがありますが、以上の概略をお知りになった上で、主治医にもう1度ご相談してみてはいかがでしょうか。