ジェムザールの治療回数が減らされることに。効果は?

回答者:上野 秀樹
国立がん研究センター中央病院 肝胆膵内科医師
発行:2009年5月
更新:2013年11月

  

72歳の母のことでご相談します。膵頭部に2センチのがんが見つかり切除しました。手術後の治療として、点滴でジェムザール(一般名 塩酸ゲムシタビン)を受けたところ、白血球の値がかなり下がってしまいました。1週間に1回、3週続けたら、1週休薬のペースでジェムザールを受ける予定でしたが、主治医から2週間に1回のペースに変更する旨の説明を受けました。ジェムザールの点滴の間隔を2週間に1回にしても、効果は変わらない(落ちない)のでしょうか。

(長崎県 女性 47歳)

A 副作用が強い場合は、休薬や減量も考慮すべき

抗がん剤の使用量や投与方法は、臨床試験の結果などに基づいて定められています。ジェムザールを単独で使用する場合は、「体表面積1平方メートルあたり1000ミリグラムに相当する量のジェムザールを30分かけて点滴静注する。週1回の投与を3週連続し、4週目は休薬するサイクル(3投1休)を1コースとして繰り返す」方法が一般に行われています。しかし、抗がん剤には副作用があり、副作用の発現には個人差があるため、必ずしも予定どおり投与できるとは限りません。

ジェムザールの主な副作用は、白血球減少や血小板減少などの骨髄抑制と、悪心・嘔吐、食欲不振などの消化器症状です。それらの多くは一過性で、感染などを誘発する重篤な副作用は稀ですが、ジェムザールの投与当日にある程度以上(一般には、白血球数が1マイクロリットルあたり2000未満、もしくは血小板数が1マイクロリットルあたり7万未満)の骨髄抑制が認められた場合には、安全性を考慮し、骨髄機能が回復するまでジェムザールの投与を休止(延期)します。

ジェムザールを受けた患者さんの10~20パーセント程度は、白血球数が1マイクロリットルあたり2000未満に低下することが報告されているため、予定された3投1休が受けられずに、2投1休(週1回の投与を2週連続し、3週目は休薬するサイクル)や1投1休(週1回の投与を隔週で行う方法)になる方がそれなりにいらっしゃるわけです。

副作用に問題がなければ、決められた投与量・投与方法を守り、一定期間あたりの抗がん剤の投与量を適切に保つことが推奨されます。しかし、副作用が強く出た場合は、無理せず休薬し(休薬すると、多くの場合、翌週には回復します)、安全性を保ちながら可能な範囲内で投与量を保つことが大切です。効果ばかりにとらわれて、重篤な副作用を起こしてしまっては元も子もありません。

実際の臨床の現場では、白血球減少などの副作用のために、ジェムザールを2投1休や1投1休で投与している方がいらっしゃいますが、3投1休で投与された方よりも、これらの方の治療効果が明らかに落ちるといった印象はありません。安易な休薬や減量は禁物ですが、リスクを冒してまで3投1休を遵守する必要性はなく、個々の患者さんの状態に合わせて、柔軟に投与量や投与方法を調整することが重要です。

同じカテゴリーの最新記事

  • 会員ログイン
  • 新規会員登録

全記事サーチ   

キーワード
記事カテゴリー
  

注目の記事一覧

がんサポート4月 掲載記事更新!