耳の後ろが腫れて、高熱が出た。悪性リンパ腫が心配
半年ほど前、左の耳の後ろから首のあたりが腫れ、高熱が出て、腫れた部分が痛くなりました。これらはしばらくして治まったのですが、しこりは今も残っています。耳鼻科の医院で診てもらったところ、大きな病院で検査を受けることを勧められました。本やインターネットなどでも調べてみたら、悪性リンパ腫ではないかと心配になりました。悪性リンパ腫の検査は、首に針を刺すとも書いてあり、病院に行くのを躊躇しています。アドバイスをお願いします。
(27歳 女性 長崎県)
A 壊死性リンパ節炎や、細菌性リンパ節炎などの可能性も
化学療法科医長の岡元るみ子さん
首のリンパ節が腫れて、心配になって、来院される方は少なくありません。悪性リンパ腫である可能性もありますが、20代という年齢と症状などを考えると、まずは壊死性リンパ節炎、細菌性リンパ節炎、結核性リンパ節炎、伝染性単核球症など良性疾患を疑います。それぞれについて、少し説明してみましょう。
壊死性リンパ節炎の「壊死」とは、体の細胞や組織の一部分が死ぬことです。痛みがあって、リンパ節の周辺が腫れ、発熱もありますが、特に治療を行わなくても自然に治まるのが特徴です。ただ、何度か繰り返し起こる傾向があります。組織をとって、顕微鏡で見ると、壊死組織が確認されます。原因は、今のところわかっていません。
細菌性リンパ節炎は、虫歯や歯周病、咽頭の炎症などが原因となり、細菌が体内に侵入し、頸部リンパ節に炎症を起こすものです。一般的には、抗生剤を内服することで治まります。
結核菌が原因でリンパ節が腫大する結核性リンパ節炎では微熱が続くことがあり、肺結核の有無をレントゲンで確認する必要があります。また喀痰や胃液の検査で結核菌が証明され、診断がつくこともあります。
伝染性単核球症は、EBウイルスというウイルスによる感染症で、肝機能の悪化、扁桃の腫れ、リンパ球の減少などの症状が出ます。血液検査によってある程度診断がつき、通常は無治療で自然治癒します。
ご相談者の場合、文面だけから判断すると、現在残っている症状は、しこりだけです。腫れた箇所が痛くなったこともあるようですが、悪性リンパ腫は、一般的にリンパ節の痛みはあまりありません。また、悪性リンパ腫や悪性腫瘍は、だんだん大きくなっていくなどの特徴があります。
まずは問診をしっかり行った上で、血液検査や画像検査などを行い、判断します。たとえば、壊死性リンパ節炎が疑われれば様子を見ることもありますし、細菌性リンパ節炎が疑われれば抗生剤を投与します。いきなりしこりに針を刺したり、切開して組織をとる針生検を行うわけではありません。
リンパ節が大きくならなければ、しばらく様子を見るのも1つの方法ではありますが、ご心配なら、やはり総合病院などを受診されたほうがよいでしょう。