中2の娘に白血病であることを伝えるべきか
中学2年の娘(14歳)が急性リンパ性白血病と診断されました。入院して抗がん剤治療を行う必要があると主治医に言われましたが、娘には「体調が悪い状態が続いているから、入院してきちんと検査をしてもらう」とだけ話しました。しかし主治医には、これから抗がん剤治療が始まるのだから、病気のことをきちんと伝えたほうがいいと言われています。娘に病名などを伝えるべきでしょうか。
(長野県 女性 44歳)
A 正直に話して、家族と一緒に病気に立ち向かうのが望ましい
医療施設や医師によっては、告知をしないこともありますが、私自身はこれまで、ほとんど全員の患者さんに告知をしてきました。
理由は幾つかあります。まず「嘘はばれる」ということ。抗がん剤を使用すると、多くの場合、嘔吐や倦怠感、脱毛、発熱、口内炎などの副作用が起こります。こうした状況に「検査のせい」とか「貧血の一種だよ」などといった嘘が通用するはずがありません。
家族から何も知らされてないのに、知らない誰かに「あなた、白血病なんでしょ。大変ね」などと“告知”されたら、本人はそれこそ大きなショックを受けてしまいます。また今は、情報が氾濫している時代です。中学生ならインターネットなどで調べて、自分の状態を知ることもある程度は可能です。親や兄弟といった、近しい人に嘘をつかれたり隠し事をされたりすることのほうが精神的ダメージはよほど大きく、闘病の勇気や意欲も萎えてしまいます。
告知の有無にかかわらず、大切なのは、お子さんを1人にしないことです。告知をしないことで、かえって1人にしてしまう可能性もあります。毎日しっかりとお話しをして、患者さんがどうなろうとも家族が必ずついていることをわかってもらうことです。家族だけで対処が難しいときには、臨床心理士やチャイルド・ライフ・スペシャリストなどの力を借りるのもよいでしょう。
10代の急性リンパ性白血病の6~7割は治ります。病名や病状を正直に伝え、治癒をめざしてしっかりと闘病できる環境をつくって、家族みんなで努力するのが最善ではないでしょうか。