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森川那智子のゆるるんヨガ de ほっ!

ゆるゆるセルフケア!(36)やさしい三角のポーズ

イラスト●星奈レイ
発行:2010年11月
更新:2013年8月

  

森川那智子(もりかわ なちこ)
こころとからだクリニカセンター所長。カウンセラー・ヨガ指導家。心療内科と提携し、カウンセリングを中心に、ヨガ、リラクセーション、瞑想を取り入れた療法で、心と体のサポートに取り組む。
『こころがラクになる本』(大和書房)
『リラックスヨガ』(成美堂出版)など
著書多数こころとからだクリニカセンター http://www.kokokara.co.jp/

痛みとのつきあい方練習

やさしい三角のポーズ① つま先を正面に向け、両足を大きく開いて立つ。両脚と足幅で正三角形をつくる。

毎年夏になると日本に里帰りする友人がいて、彼女を囲む旧友たちの小さな集まりが開かれます。今年は夫君があいにくの歯痛で、エアコンの風があたっても痛みが走るとハンカチであごを押さえてじっと堪えていました。

その場に集まった友人たちも、それならばとエアコンも扇風機も切り、こちらも蒸し風呂のような暑さにじっと堪えることになったのです。

「痛み止めは効かないの?」

誰かが訊くと彼は「痛み止めの薬は持っているが、なるべく飲みたくないと」といいます。激痛のため2晩眠れず、3晩目に「今夜も眠れなかったら飲もうと思っていたがうとうとできた。本当に堪えられなくなったときのためにとっておく」つもりだというのです。

② 息を吐いて脊柱を伸ばし、吸いながら両腕を水平の位置まであげる。

痛みの対処の仕方は人によって実にさまざまです。けれども痛みに対する恐怖感や嫌悪感は、想像の段階がもっとも大きくなることは共通しています。

つまり痛みに対処することと、痛みへの恐怖感や嫌悪感に対処することとは別物なのです。

歯痛の彼の例でいえば、顔がゆがみそうになるリアルな痛みには堪えながら、想像上の堪えがたい痛みのために、鎮痛剤をとっておいています。

いざというときに鎮痛剤がしっかり効くように、堪えられる痛みにはなるべく使わないようにしています。

傍からみたら、「今」がその「いざというとき」にカウントされないのなら、いったいいつが「いざ」なんだとつっこみたくなるくらいでした。

③ 息を吐きながら上体を前に倒し、左手を床につける。脚がきつければ、膝を曲げる。

ヨガでは、痛みについても他の体の深部感覚と同じように気持ちを集中して、ていねいに扱います。

どんなポーズにおいても呼吸と同調させながら、体をゆっくりと順序に従って動かしてポーズを完成させていきます。十分に伸ばしたり曲げたりねじったりするわけですが、えいっと力まかせにやらないで、使われている筋肉の感覚に注意を向けながら動きます。

そして、少しでも痛みが生じたらほんの少し動きを戻し、その姿勢を保ちながら余分な力を抜きます。さらにその痛みの感覚に注意を向け「少し痛いけれど気持ちがいい」(通称「イタ気持ちがいい」)かどうか吟味します。

「イタ気持ちがいい」というのは、「イタ」が2割程度のことです。3割を超すと肩や首に力が入ってきます。

④ 息を吸いながら右手を上方に伸ばし、右手指先を見る。そのまま自然呼吸でゆっくり10カウント。順序を逆にたどって①に戻す。

痛みも含めて体の感覚に注意を集中するということを普段からやっておくと、痛みを大げさに扱ったり痛みを無視したり、痛みから気をそらすということを自然としなくなります。

あ まり経験したことのない痛みについても、それを体からのメッセージだというふうにとらえて、どの部分がどんなふうに痛むのか、刺すような痛みなのか、鈍い 広がりをもった痛みなのか、熱をもった痛みなのか、強くなったり弱くなったりするのか、ていねいに観察していくと、不思議なことに痛みが30~80パーセ ントくらいやわらぎます。

痛みそのものと痛みへの恐怖感や嫌悪感をわけ、痛みについてシンプルに観察していくと、どんな痛みも一本調子で長時間同じように痛むということはないことにも気づきます。

がん患者さんにとっても痛みとのつきあい方の練習は必修科目ではないでしょうか。

そしてもちろん必要なら鎮痛剤を使う。必要になったら必要なだけ使えばいいと考えると、それだけでも気が少し楽になります。

やさしい三角のポーズ

難易度は高くありませんが、④で床につけてないほうの手を上方に上げるのが案外きついポーズです。これも痛みのつきあい方の練習です。脚部も背中も温かくなります。

①両足を大きく開いて立ち、両脚と足幅で正三角形をつくるようにします。つま先は正面に向けましょう。

②息を吐いてすーっと脊柱を伸ばし、息を吸いながら両腕を水平の位置まで上げます。肩を持ち上げずに、むしろ肩先を下げるつもりで、両腕を指先までリラックスしながら伸ばしましょう。

③息を吐きながら上体を前に倒し、左手を床につけます。脚がきつければ、膝を曲げてもOKです。

④息を吸いながら右手を上方に伸ばし、目線を右手指先に向けます。そのまま自然呼吸でゆっくり10カウントしましょう。順序を逆にたどって①まで戻し、左右を交代して行います。

両幅を腰幅にして、立位のまま呼吸を整え、もう1セット行いましょう。

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