再発しても自分を責めずに、今からの自分を大切に 乳がん手術から10年。肺に転移

取材・文●髙橋良典
撮影●「がんサポート」編集部
発行:2021年4月
更新:2021年4月

  

シノハラリエさん ヨガインストラクター

しのはら りえ 本名:篠原理恵 1963年福岡県生まれ。15年間グラフィックデザイナーとして広告代理店に勤務した後、2002年結婚を機に退職し、フリーランスでデザインに携わる。03年運動不足解消のためヨガに通い始め、07年パワーヨガ、ハタヨガのインストラクターとなる。11年5月に乳がんを発症。13年より乳がん経験者を対象としたヨガを始める。18年離婚。21年2月肺に遠隔転移が発覚。現在、防衛医大で治療中。ヨガセラピー、女性のがんサバイバー対象のリボンヨガ、パワーヨガ、シニアヨガ講師。
YouTube「シノリエのがんサバヨガ
Mail:maryogamail@gmail.com

最初の乳がん治療から10年。今年(2021年)の7月で、やっとホルモン療法から解放されると思っていた矢先、肺に遠隔転移が発覚。

自分はもう死ぬのかもしれない……と、奈落の底に突き落とされたヨガインストラクターのシノハラリエさん。再発・転移をした人の気持ちを皆さんに伝え、参考になればとその心境を語ってくれた。

咳が止まらずクリニックを受診

2020年11月頃から咳が出始めたが、最初は気にしていなかった

シノハラリエさんには2014年10月号に乳がん体験者として登場いただいている。詳細はその号をお読みいただくとして、簡単に病歴を記しておくと、2011年5月に乳がんが発覚。7月に左乳房全摘と腋窩(えきか)リンパ節郭清手術を受け、8月からホルモン治療(注射薬リューブリン、経口薬ノルバデックス)開始。13年10月にリューブリン投与終了。以後、ホルモン療法を続けながら、3カ月に1回の診察と年に1回の検査をこれまで受けてきていた。

ところが、昨年(2020年)の11月頃から咳が出始めた。数年前からアレルギー性の咳が1カ月ぐらい続くことはよくあったので最初のうちは大して気にはしていなかった。

しかし、1カ月、2カ月経っても咳は止まらない。

とにかく咳を何とか止めたくて年明け、近くのクリニックを受診し、咳止めの薬と抗アレルギー薬を処方してもらった。

しかし、一向に咳は止まらない。改めて1月16日にクリニックを受診し、咳が止まらないと医師に訴えた。

「では、レントゲンを撮ってみましょう」

撮影画像を見た医師は、「右肺が何かもやっとしている。がんではないと思うが、大きい病院で精密検査をしてもらえばその原因がわかるので、症状に合う薬を処方してもらえるんじゃないかな」と言われた。

医師から「がんではない」と言われたことで、呼吸器系の病気だと思ったシノハラさんは、東京都清瀬市にある呼吸器内科で有名な複十字病院を紹介され、1月26日に受診した。

心無い言葉をかけられて

造影剤を入れてCTを撮影すると、右肺に腫瘍らしきものが映っていた。

医師から1泊2日の検査入院を勧められ2月1日に入院する。

口から内視鏡を肺に入れて細胞採取。

その日の夜、医師から「結果は2週間後にハッキリするけど、あまり良くないね」と言われた。

クリニックの医師からは「がんではない」と言われたものの、検査入院を前に原発肺がんか、乳がん再発・転移かも知れないと不安な気持ちを抱えていて、知人の看護師に話すと、返ってきたのは「もう、いいじゃない。10年も生きたんだから」という心無い言葉だった。

10年前にも「先生は曖昧なことは言わない。違うかもしれない場合には『もしかしたら違うかもしれないよ』と言うかもしれないけど、『良くないね』と言う言葉を発するときには、本当に良くないんだと覚悟しておいて」と言われていた。

だからシノハラさんはこの医師の言葉を聞いたとき「再発・転移か、原発肺がんのどちらかで間違いない。そう遠くないうちに死ぬんだ」と激しく動揺した。

細胞検査の結果は、異形でがんの一歩手前の細胞だと知らされた。ただ、どこかにがんが潜んでいるかもしれないということで、19日に改めてPET-CT検査をすることになった。

「10年かけて出て来たがんだから焦ることはない」

笑顔が素敵なシノハラさん

シノハラさんは乳がん術後、3カ月に1度、防衛医大で診察を行っていた。2月24日は診察の日に当たり、主治医の山崎民大医師にこれまでの経過を話した。

すると山崎医師は「再発・転移は間違いなさそうだね」と言い、こう続けた。

「あのとき、抗がん薬を使わなかったことに再発の原因があると思っているのかも知れないけど、抗がん薬を使っていたからといってその選択が正しいというわけじゃない。抗がん薬を使っていた人でも、再発する人は再発するんだからね。あなたは10年という長い時間かけて潜んでいたがんが出て来たんだから、焦る必要はないよ」

シノハラさんは10年前、左乳房全摘術後の治療方針として化学療法とホルモン療法の2つの治療法を提示され遠隔転移の可能性も否定できないため、化学療法を勧められていたからだった。

そのとき「化学療法を選べば、1年近く、ヨガが出来なくなる」、そう思って躊躇なくホルモン療法を選択した。それを、いま後悔しているとしたら「それは違うよ」という主治医の患者を気遣う言葉だった。

10年前、ホルモン療法を選択したときも、主治医はこう言ってくれた。

「あなたが『ヨガが、ヨガが』とそんなに一生懸命で、ヨガをやることで笑っていられるなら、抗がん薬よりも、ヨガが、もっと良く効く薬なのかもしれないね」

そしてシノハラさんは「山崎先生は、患者が質問すると納得するまでいくらでもいくらでも説明してくれる先生なんです。そんな先生は滅多にいないと思っています」と話す。

最初の診療から10年間、主治医が代わっていないことでも、シノハラさんはとてもラッキーなことといえる。

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