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患者のためのがんの薬事典

エルプラット(一般名:オキサリプラチン)大腸がん治療に画期的変化をもたらした薬剤

監修●水沼信之 がん研有明病院消化器センター・消化器化療担当部長
取材・文●星野美穂
発行:2014年5月
更新:2014年8月

  

エルプラットは、2005年に承認された比較的新しい抗がん薬です。
大腸がんの治療薬は5-FUのみだったところにエルプラットが登場し、生存期間や症状が安定する期間は大きく伸展しました。
再発予防の効果もそれまでの抗がん薬よりも高く、まさに「大腸がん治療を大きく変えた」薬といえます。

どんな薬?――エルプラットの特徴

エルプラットは、「白金製剤(プラチナ製剤)」と呼ばれる抗がん薬の仲間です。がん細胞が増殖するためのDNAの複製を邪魔し、がんを殺します。また、複数の抗がん薬と組み合わせる(多剤併用療法)ことで、効果が高まります。

切除による治癒が不能な進行大腸がん、または再発した結腸・直腸がんの標準治療に使われる薬の1つです。また、術後の再発予防のための術後補助療法にも使用されます。

エルプラット=一般名オキサリプラチン

代表的なレジメン ❶FOLFOX療法(フォルフォックス療法)

表1 療法名は薬剤の頭文字から付けられることが多い

folinic acid [ホリン酸]は、ロイコボリンの主成分
オキサリプラチン:Oxaliplatin は、エルプラットの一般名

図2 切除不能転移性大腸がん標準治療の変遷

投与する薬剤の種類や量、期間、手順などを時系列で示した計画書を「レジメン」といいます。エルプラットを用いた大腸がんの代表的なレジメンはいくつかあります。

FOLFOX療法は、大腸がん治療の中心となる 注1)レジメンです。使用する薬剤の、ロイコボリン、5-FU、エルプラットのぞれぞれの頭文字を取って名付けられました(表1)。

がんの薬の効果を評価する指標の1つに「生存期間中央値(MST)」があります。これは、その薬を使った患者さんたちのうち、半分が亡くなるまでの期間のことです。

大腸がん治療では、5-FUだけを使って治療していた時代に、生存期間中央値は12カ月弱でした。

FOLFOX療法の登場により、生存期間は大きく伸展しました(図2)。米国で行われた、化学療法を行っていない進行・再発の直腸・結腸がんの患者さんにFOLFOX療法を行った第Ⅲ相臨床試験では、生存期間中央値は19.3カ月に延びました。

また、FOLFOX療法で用いるエルプラットの替りにイリノテカンを用いるFOLFIRIという治療法も同様の効果が認められています。

ここ数年では、さらにFOLFOX療法に分子標的薬のアバスチンを併用し効果することで効果を高める治療法も行われています。この製造販売後臨床試験では、生存期間中央値は28.5カ月まで延びました。FOLFOX療法に追加する分子標的薬には、アービタックスやベクティビックスを用いることもあります。

《投与法》最初にロイコボリンとエルプラットを2時間かけて点滴します。その後、5-FU 400mg/㎡を急速投与(注射)し、さらに5-FUを46時間かけて点滴します(図3)。

図3 FOLFOX療法

FOLFOX療法を行う場合、「皮下埋め込み型中心静脈輸液ポート」を鎖骨下に埋め込みます。この手術には、1時間ほどかかります。

このポートは、確実に薬剤を静脈内に投与することができるため、通常の腕からの点滴のように安静を保つ必要がありません。そのため、病院で薬剤の点滴を開始し、ポートに針を入れたまま薬剤の入ったボトルを携帯して帰宅し、点滴が終了したら自分で針を抜きます。本来は入院して行っていた丸2日間にわたる持続点滴中も自宅で過ごし、外来での治療が可能になります。

ロイコボリン=一般名ホリナートカルシウム 5-FU=一般名フルオロウラシル イリノテカン=商品名カンプト/トポテシン FOLFIRI療法=ロイコボリン+5-FU+イリノテカン アバスチン=一般名ベバシズマブ アービタックス=一般名セツキシマブ ベクティビックス=一般名パニツムマブ 注1)FOLFOXは、それぞれの薬剤を使うタイミングや使い方によって、1~7までのシリーズがあります。日本でよく使われるのは、エルプラットの用量を減らしたmFOLFOX6(modifiedは修正されたという意味)というレジメンです。

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