森川那智子のゆるるんヨガ de ほっ!
ゆるゆるセルフケア!(2) 腹式呼吸のポーズ
森川那智子(もりかわ なちこ)
こころとからだクリニカセンター所長。カウンセラー・ヨガ指導家。心療内科と提携し、カウンセリングを中心に、ヨガ、リラクセーション、瞑想を取り入れた療法で、心と体のサポートに取り組む。
『こころがラクになる本』(大和書房)
『リラックスヨガ』(成美堂出版)など
著書多数こころとからだクリニカセンター http://www.kokokara.co.jp/
あるとき50代前半の女性が、腹式呼吸をマスターしたいと、私どものセンターを訪れました。
話を聞くと、この半年ばかり急に息苦しくなったり動悸が止まらなくなって、1度ならず救急車で病院に運ばれたことも。でも、異常は見つかりません。
それでも、いつまた発作がおきるかもしれない、そう考えただけで不安で胸苦しくなるような状態が続いていて、以前の明朗快活さが嘘のように、1人での外出が困難になったというのです。
心療内科ではパニック障害と診断され、薬も処方してもらったのですが、副作用が怖くて使いたくないとおっしゃる。この日もご主人が車で連れてこられていました。
薬を使いたくない、薬に頼ったら薬依存になるのでは、と不安になる。パニック障害には結構そういう方々がいます。
というか、そういう方々が代替医療を模索して、私どものところにも足を運んでくるといったほうがいいのかもしれません。
そうした医療や薬への不安も症状の一部であると説明し、薬も上手に使いながら、ヨガや呼吸法やリラクセーション法も用いていくというやり方を、私は提案しています。
その女性は、実はパニック発作が起こる数カ月前に大腸がんの手術をされ、現在もがん治療のため薬を飲んでいて、その主治医からなるべくほかの薬は使わないように言われているというのです。
でもよ?く聞いてみると、お医者さんが忙しいそうだからと、つい言葉を飲み込んでしまって勝手に納得していました。
医師と率直ないい関係をつくっていくお手伝いも、カウンセラーの仕事の一部です。
不安や緊張で落ち着かないとき、私たちの呼吸は自然と浅くなっています。けれども、たいていの人は今、自分の呼吸がどうなっているか、あまり気にとめません。
浅くせわしない呼吸が続き、息苦しくなったり動悸がしてきて、初めて、自分の呼吸に注意を向けます。そしてようやく、最近ずっと浅い呼吸しかしてなかったことに気づきます。
ゆっくり穏やかな息をすると気持ちもリラックスしてくる、ということは多くの人が知識としては知っています。で、実際に深呼吸を試みるのですが、慣れていないとかえって肩や胸部が緊張してきたり……なかには、今までどうやって呼吸していたのかわからなくなっちゃった、なんていう人もいます。
大丈夫。今までずっと息してきたのだから、今だって息しているのだから、その息をもう少し、ていねいにゆっくりやってみよう。
誰でも赤ちゃんのときは深く穏やかな腹式呼吸(横隔膜呼吸)が得意でした。赤ちゃんがすやすや眠っているとき、おなかがきれいに上下していて、なんか、見ているこちらまで、のどかな気分になるくらいです。
大人になって、腹式呼吸を体得するには、まず腹式呼吸をやりやすい姿勢をなること。つまり〈腹式呼吸のポーズ〉をとって腹式呼吸をすると、なじみやすいですね。
腹式呼吸のポーズ
仰向けになり、両膝をたてます。両足、両膝は腰巾に開きます。
背中はゆったり広々とリラックスさせ、両手をおなかに当てます。
まず軽く息を吸ってから息をていねいに吐きます。
原則は鼻呼吸ですが、鼻からゆっくり吐きにくいと感じたら、口もとをすぼめて口から出息します。
息を吐きながら、腰部(ウエストの背中側)をマットにしっかりつけるようにする、これがポイントです。こうするとゆっくり息を十分出すことが容易になります。
吸うときは腰部を浮かして(ここがポイント)、お腹を緩め、いくらかふくらませるようにします。こうすると横隔膜が押し下げられて、深く息が入ってきます。
10呼吸1セット。
呼吸という字にあるようにまず呼気(吐き息)をゆっくり十分に吐く。そうすると吸おう吸おうと思わなくても、自然と息は深く入ってきます。お腹がゆっくり上下するのを手のひらに感じて下さい。
1セット後、しばらくごろごろと腕や脚や背中や腰を動かして(動かしたくなかったら動かさなくていいんですよ)、もう1セット。
仰向けになり、両膝を立てる。両足、両膝は腰巾に開き、両手はおなかに当てる。
軽く息を吸ってから、息をていねいに吐く。原則は鼻呼吸。
鼻からゆっくり吐きにくいと感じたら、口もとをすぼめて口から出息する。
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