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肝っ玉弁護士がんのトラブル解決します 3
ポリープ術後の入院費請求に納得がいかない
多彩な弁護士活動の中でも家族、相続などの問題を得意とする。2003年より「女性と仕事の未来館」館長。2児の母。2005年男女共同参画社会作り功労者内閣総理大臣表彰を受賞。『子宮癌のおかげです』(工作舎)など著書多数。
渥美雅子法律事務所 TEL:043-224-2624
74歳の父に、大腸がん検査でポリープが見つかった。医師から内視鏡で取る、1泊2日の入院と言われた。その夜中、病院のベッドで尋常ではない痛みに七転八倒し、検査をしたらポリープを取ったところに穴があいていたと病院から説明があった。腹膜炎の可能性と絶食のため、3週間の入院を強いられた。退院時は10キロ以上体重が減り、3週間寝たきりとなったために足腰も弱った。ポリープの病理検査結果は、大きさは1センチ弱、先のほうがカリフラワー状態でがん化していた。退院時、治療費用と入院費用を請求されたが入院費用の支払いについて納得がいかない。医療過誤裁判を起こすつもりはないが、入院費用を支払わなければならないのか。
(40代、女性)
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内視鏡で、ポリープを取る施術(内視鏡的ポリペクトミー)を行い、取ったポリープの病理検査結果が「大きさは1センチ弱、先のほうがカリフラワー状態でがん化していた」ということは、恐らく外科的処置(腹腔鏡手術とか開腹手術)を行うか、ポリペクトミーを行うかの判断の難しいところではなかったかと思います。というのも、一般的に、細胞はがん化すると収縮し、そのため腸の粘膜は薄くなる、つまりポリープを切除する際、粘膜を傷つけ、穴をあけてしまう危険性が高くなると言われているからです。
手術前に、患者本人や家族に対して説明がされたはずですが、そういうリスクについては聞いていませんか。この問題は、1つには、インフォームド・コンセント(説明と同意)の問題だと思います。どういう施術で、どういう治療効果が期待できる、逆にどういうリスクがある等というインフォームド・コンセントがなされたのか、そしてそれに納得して患者自身がポリペクトミーを選択したかどうかが問題です。
また、仮に納得して行ったものであっても、術者の技量が未熟であったり、そもそもポリペクトミーにはなじまない症状であったというような場合には、やはり医師側の過失責任が問題となります。
もしも医師側に過失があるなら、術後3週間分の治療費、入院費などは支払う必要はありません。更にその分の物質的、精神的損害について賠償請求することができます。逆にもしも予め予測されていたリスクであったり、状況からして避けられないものであったとすれば治療費も入院費も支払わざるを得ないでしょう。
ただ、私自身医師ではありませんし、質問文に書かれている情報だけでは、どちらとも判断ができません。
そこで、もう少し専門的に医療事故を扱っている弁護士グループを紹介しますから、そちらへアクセスしてみて下さい。
医療事故研究会(電話:03-5510-3286 火、木、金曜日の午後1時から3時まで受付)
50名以上の弁護士が会員として登録されていますから、場合によってはカルテの開示請求や病院側との接渉なども担当してくれるのではないかと思います。
ただ、病院側と接渉するについては、お父様のお気持ちを大切になさって下さい。引き続き治療や検査等を受ける都合もありましょうし、お父様自身が今後も受診しやすいように配慮なさって下さい。
そのためには病院側と喧嘩にならぬよう、上手に接渉することが大事です。決して遠慮することはありませんが、お父様のお気持ちを無視して、あなただけがフライングしないよう気をつけて下さい。