2期のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫の治療法は?

回答者:岡元 るみ子
東京都立駒込病院 化学療法科医長
発行:2010年6月
更新:2013年12月

  

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の2期と診断されました。主治医からは、R-CHOP療法を8回、行うと言われましたが、インターネットなどでR-CHOP療法を3回行った後に、放射線療法を行う方法もあることを知りました。この2つの治療法で、効果や副作用に違いはあるのでしょうか。

(宮城県 男性 48歳)

A 病変の範囲によって治療法が変わる

悪性リンパ腫の2期とは、病変が2カ所以上のリンパ領域に認められ、その病変が横隔膜(胸とおなかを隔てる膜状の筋肉)の上下どちらかの片側に限定される状態です。病変が、横隔膜より上部に2個以上ある場合も、横隔膜より下部に2個以上ある場合も2期に該当します。

悪性リンパ腫の2期で、大きなかたまりをつくっていない場合を限局期といい、R-CHOP療法を3回行い、その後、放射線治療を行う方法が標準治療です。

この治療法が標準治療になった理由は、CHOP療法の単独8コースとCHOP療法+局所の放射線治療(領域照射)の比較試験が実施され、その結果、後者のほうが治療成績がよかったためです。

その後、CHOP療法にリツキサン(一般名リツキシマブ/「R」と略される)を加えるほうが、治療成績がよりよいことがわかったため、現在は、R-CHOP療法+放射線の領域照射が主流になっています。

ただし、2期であっても、たとえば、首と両方のわきの下と縦隔(肺と肺の間の部分)に病変があった場合、病変をすべて含めて放射線治療を行おうとすると、照射範囲(放射線をかける範囲)が広くなってしまいます。照射範囲が広くなると副作用が大きく出る可能性があります。たとえば首のあたりであれば、唾液腺の障害が強く出て、唾液が出にくくなったり、縦隔に放射線をかけた場合、心臓にかかってしまい、将来的に心機能障害を起こすこともあります。そうなると、QOL(生活の質)は大きく落ちてしまいます。そのため、こうした2期の場合は「R-CHOP療法3コース+放射線治療」ではなく、「R-CHOP療法6~8コース」を行うことが検討されます。

放射線治療なしのR-CHOP療法8コースを勧められたということは、相談者の病変が何カ所か広い範囲にあるか、あるいは病変の大きなかたまりがあって、照射範囲がとても広くなってしまうことが推察されます。どこのどのような大きさのリンパ腫の病巣があるのか、今1度、主治医に確認されてみるとよいかもしれません。

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