鼻NK/T細胞リンパ腫の治療法は?

回答者:岡元 るみ子
東京都立駒込病院 化学療法科医長
発行:2009年6月
更新:2014年12月

  

鼻NK/T細胞リンパ腫と診断されました。ステージ(病期)は1期です。主治医からは、DeVIC療法と放射線治療を行うと言われています。鼻NK/T細胞リンパ腫について調べても、情報はあまりなく、この治療でよいのか、ほかにどんな治療法があるのかわからず、不安です。とくに放射線治療では、通常のリンパ腫より強い放射線を脳や目などの近い部分に当てると聞きました。どんな副作用があるのか、とても心配です。

(石川県 男性 46歳)

A DeVIC療法と放射線治療が行われている

DeVIC療法とは、パラプラチン(一般名カルボプラチン)+イホマイド(一般名イホスファミド)+ベプシドまたはラステット(一般名はいずれもエトポシド)+デキサメサゾン、デカドロンなど(一般名はいずれもデキサメタゾン)の4剤併用療法のことです。このうちデキサメタゾン(一般名)はステロイド薬で、ほかは抗がん剤です。

かつて鼻NK/T細胞リンパ腫に対する治療は、まず抗がん剤治療の後に、放射線治療を行っていました。しかし、臨床試験の結果、DeVIC療法と放射線治療をほぼ同時に行ったほうが治療成績がよいことがわかり、現在はこの方法が多くの施設で行われています。

照射する放射線の線量は通常の悪性リンパ腫より多く、40~50グレイです。鼻腔、副鼻腔、上咽頭を含めた病変全体に照射します。

脳や目などの近い部分に当てることを心配されていますが、通常、最も強い副作用は口内炎をはじめとする口の中の粘膜障害です。放射線のかけ方を工夫することである程度、軽減することはできますが、抗がん剤治療もあるため、粘膜障害はどうしても起きてしまいます。しかし、粘膜障害は永久的なものではなく、治療が終わってしばらくすると治まります。

目などの大切な臓器に放射線の副作用がでないよう、遮蔽したり、放射線のあて方を工夫します。また、抗がん剤治療と併用するので白血球の減少などの副作用が起こりえます。

鼻NK/T細胞リンパ腫は治療成績がかんばしくない病気ですが、1期という限局期であることを考えると、しっかり治療をすれば、治る可能性は十分にあります。副作用には十分気をつけつつ、DeVIC療法と放射線治療を受けてみてはいかがでしょうか。

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