非ホジキンリンパ腫の治療法と副作用対策は?

回答者:岡元 るみ子
東京都立駒込病院 化学療法科医長
発行:2007年12月
更新:2013年12月

  

71歳の父のことでご相談です。非ホジキンリンパ腫のびまん性大細胞型リンパ腫とのことです。リンパ腫とはどのような病気なのでしょうか。また、よい化学療法があると聞いています。ただ、父は糖尿病と軽い肺気腫を患っているため、化学療法による副作用が気になります。ベストな治療法と副作用対策を教えてください。

(秋田県 女性 43歳)

A びまん性大細胞型B細胞リンパ腫ならR-CHOP療法

悪性リンパ腫は、白血球の1種のリンパ球ががん化する病気です。リンパ節や、胸腺、脾臓、扁桃などのリンパ組織から発生するばかりではなく、全身のあらゆる臓器に症状が出ます。悪性リンパ腫は、病理組織学的な特徴から非ホジキンリンパ腫とホジキンリンパ腫に大別されます。非ホジキンリンパ腫は、首と足のつけねのリンパ節(鼠径リンパ節)のように、病巣が飛び離れた場所に出ることが多く、一方、ホジキンリンパ腫は、組織学的に大型のホジキン細胞があることと、首のリンパ節から脇のリンパ節へというように、リンパ腫が連続的に広がることが特徴的です。

非ホジキンリンパ腫には、たくさんの組織型があります。病気が年単位でゆっくりと進行する低悪性度なのか、月単位で大きくなりやすい中悪性度か、週単位で急速に進行する高悪性度かによっても治療法は異なります。そして病期の広がりを示す病期(ステージ1~4)、全身状態、合併症のなどによって、治療法を決定します。

また、非ホジキンリンパ腫は、腫瘍化したリンパ球がB細胞なのか、T細胞か、NK細胞かの3つに分かれます。B細胞が全体の80パーセントを占めます。B細胞かどうかは、治療方針を決めるうえで重要です。

ご相談者のお父様は、びまん性大細胞型リンパ腫とのことですから、悪性度は、月単位で進行する中悪性度です。ただし、主冶医から説明があると思いますが、B細胞なのかどうかがわかりません。B細胞かどうかは、腫れたリンパ節の一部を切除して、CD20というB細胞の抗原が染まるかどうか免疫染色法で調べます。びまん性大細胞型リンパ腫の多くはB細胞です。びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の標準的治療はR-CHOP療法です。これは、エンドキサン(一般名シクロホスファミド)、アドリアシン(一般名ドキソルビシン)、オンコビン(一般名ビンクリスチン)の3種類の抗がん剤にホルモン剤のプレドニン(一般名プレドニゾロン)を組み合わせたCHOP療法に、リツキサン(一般名リツキシマブ)を加えた治療です。他の複数の抗がん剤を組み合わせた化学療法と比べて副作用が少なく、外来で治療が続けられます。リツキサンの副作用には発熱や悪寒、全身倦怠感を伴うアレルギー様反応があります。強い症状が出たら、一時的に点滴を中止し適切な処置が必要です。

また、病期によっても治療法は異なります。病期が1~2で、病巣が限局しているときは、R-CHOP療法を3~4コース行ってから放射線治療を追加することもできます。病期が3~4なら、R-CHOP療法を6~8コース。

R-CHOP療法で用いるプレドニンにも副作用があります。血糖値が上がることがあるため、糖尿病がある患者さんは、場合によっては、インシュリンで血糖コントロールを行うこともあります。

また、肺気腫もあるとのことですから、治療により白血球の数が減り、感染にかかりやすくなる時期に肺炎を起こすことがあるかもしれません。発熱や咳、痰などの症状が出たときは主治医と相談し、すぐに抗生物質の投与を検討してください。

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